古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

唯識

唯識入門書各種

こちらの本がたまたま店に入荷。そういえば、某所で某先生が入門書としてかなりお薦めしてたなぁと思い、なかをパラパラと…。この本は、法相宗大本山・興福寺のご住職であられる多川氏によるもの故に、伝統的な法相教学の用語が出てくるのが特色ですね。『成…

世親と楞伽経

10月末に修論・草稿を提出いたしました。すでに何度か触れましたが、一応、大雑把に言いますと、テーマは楞伽経で、それを初期唯識思想史上に位置づけてみようという狙いです。そういうことになりますと、どうしても世親との関係に触れないわけにはいかない…

お薦め本

今回は、お薦めの本をご紹介。といっても、日本語の新刊などではなく、梵語の本なんですが…^^; Gajin,Nagao : Madhyāntavibhāga-bhāṣya, A Buddhist Philosophical Treatise edited for the First Time from a Sanskrit Manuscript. Tokyo, Suzuki Research …

三性と三相

三性説(tri-svabhāva)は三相説(tri-lakṣaṇa)とも言われ、両者は同じものだというのが一応の通説です。しかし、こちらの論考が主張されるように、やはり言葉が違うのだから、何らかの意味の違いがあるのではないか?と考えるのも自然なように思われます。…

世親・三性論

世親作といわれている『三性論』ですが、その世親作という伝承を疑う研究者の方は案外多いような気がします。理由はいろいろあるようですが、まずは、当然といえば当然のことながら、チベット訳では龍樹作とされている点です。もちろん龍樹の作ではないんで…

新刊

先日知ったのですが、こちらの新刊が出た模様。 タイトル:初期唯識思想の研究 唯識無境と三性説 著者:兵藤一夫 発行所:文栄堂 定価:9,975円 判型・頁数:A5判 ハードカバー・函 492ページ ISBN:9784892431111 すでに「三性説における唯識無境の意義」(1)(2)…

三性説

科目最終試験もすべて出し終え、ほっと一息。そんな中、三性説についての勉強を再開。三性説というのは、今までいろいろな研究がなされ、百花繚乱な観がありますし、研究され尽くしたという観もなきにしもあらずです。文献によっていろいろなバリエーション…

心と身体,自然

以前買っておいて、読むのを忘れてたのを最近読みました。個人的に面白いなと思ったのは、「自然について−自己と環境の哲学」の部分でしょうか。そこでは、竹村先生のご専門のひとつである唯識思想の自然観を基にして、天台宗の「草木国土、悉皆成仏」や空海…

梵語原典を読もう

科目最終試験もひと段落で、そろそろ論文の方に集中していきたいと思ってる今日この頃。昨年末に購入したこちらの勝呂先生の本を読み出す。なかなかこの大部な本を外に持ち歩こうというわけにはいかず、家で腰を据えて読んでますが、なにぶん頁数があり、家…

禅と唯識

前回鈴木大拙に触れたこともあって、何となくこちらの本を引っ張り出してくる。同じ仏教とはいえ、中国的な禅とインドの唯識とでは正反対なところがあるようです。一方では頓悟を主張し、他方は三阿僧祇劫という無限な時間の中で修行して初めて悟りを得ると…

一心

一心というと、「一心不乱」、「一心精進」とか、「一心に〜する」など何気なく用いられますが、もとは仏教用語で、その起源をたどると、『華厳経』「十地品」に出てくる三界唯心、十二有支皆依一心という言葉に行き着くのかと思います。その後の唯識思想や…

他者の心は存在するのか?

唯識といいますと、自らの心からすべてが現れるかのような印象があって、自分の心だけで話が完結してしまいがちですが、そもそも唯識的に他者の心はどう考えればいいのでしょうか?当然のことながら、他者(の心)が存在しないというのでは不合理な面がいろ…

『法相二巻抄』の世界

唯識とは何か―『法相二巻抄』を読む作者: 横山紘一出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2005/05メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) を見る こちらは、鎌倉時代の法相宗の僧・良遍が著わした『法相二巻抄』という唯識の入門書を解説したも…

計画書を考えつつ

そろそろ修論の計画書を書かなければいけないなと思いつつ、色々と資料を買い集めてます。例えば、臨川書店復刻のS・レヴィ訳編『大乗荘厳経論』や、安慧の複注を含んだパンデヤ本『中辺分別論』asin:8120807332とか。 とにかく書かないと進まない訳でして、…

ラモット仏訳『摂大乗論』

以前、ラモット先生の仏訳『大智度論』について触れましたが、今回は同じラモット先生の『摂大乗論』の蔵文・テキスト、仏訳・注釈のご紹介。 LAMOTTE ,Étienne : La somme du Grand Véhicule d'Asanga (Mahāyāna-samgraha). T. I. Versions tibétaine et ch…

成唯識論講義

お釈迦様の誕生日の今日から、港区の青松寺にて、竹村牧男先生による「成唯識論」の講義が始まるとのことでしたので、拝聴してきました。今月から毎月第二火曜の19:00〜20:30に開催されるようです。実は、以前「成唯識論」を勉強しようとして、途中断念し…

唯識ということ

式も終わって、生活がひと段落しまして、唯識関係をまた読み進める。 といいましても、久しぶりであまり切り替えが上手くできてない感じがして、なかなか進みませんが・・。唯識ということ―『唯識二十論』を読む (新・興福寺仏教文化講座)作者: 兵藤一夫出版社…

『唯識三十頌釈』新校訂本

今年の9月にスティラマティの『唯識三十頌釈』(Trimśikāvijñaptibhāsya)の新校訂本が出版されたようです。昨日、大学に行ったときに、先生に教えていただく。 "Sthiramati's Trimśikāvijñaptibhāsya" von Buescher, Hartmut :Critical Editions of the S…

唯識文献

卒論の口頭試問も終り、あとはその評価と卒業式を待つのみとなりました。現在は、3月20日締め切りの修士論文の研究テーマ書を作成中です。一応、瑜伽行唯識派文献が研究テーマとなるとだけ言っておきます(笑)。唯識思想論考作者: 袴谷憲昭出版社/メーカ…

買ってしまった・・・

『唯識三性説の研究』(春秋社)です。もう品切れになってまして、たまたまネット上で見つけまして、ちょっと考えた挙句、注文を出してしまう。新刊定価は、26,000円。品切れ・絶版となると、こういう定価はあってないようなものになり(笑)、古書価…

卒論・草稿

まだ完成というわけではないので、ここに書くのはちょっと先走り気味ではありますが・・・。一応、だいたい書き終えました。字数にして約2万字程度。細かいところをまだまだ修正しなきゃいけないんですが、微調整をちょっとしてから、来週あたりに提出する…

ジュンク堂池袋店

日付が変りましたが、昨日の駒大公開講座の後は、暇だったので、池袋のジュンク堂書店へ。さすがは、神田の三省堂や八重洲ブックセンターよりも充実してますね。今回の目当ては、『成唯識論要講』(太田久紀著,中山書房発行)。なかなか置いてある書店がな…

春期スクーリング3

仏教学研究1と2の最終日。2の方は一応、配布したプリント、つまり『唯識三十頌』はすべて終わる。唯識、とくにその認識論のメカニズムについては、受講者の人から質問が多く出てました。いろいろと面白い質問もあり、楽しめました。つづいて、三性説の説…

春期スクーリング2

今回は、前日の夜中のサッカー日本vs.バーレーン戦を見て睡眠不足だったこともあり、夜行バスのなかでも睡眠が多少とれた気がします。目覚めはよかったです。前回は冷房が入らずに暑かったんですが、今回は冷房が入って逆に寒いくらい。なかなか思うようには…