古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

印欧祖語

インド人と話す機会がよくあるんですが、話しているときにふと思ったことがありまして。

ヒンディー語で時間を言うとき、○時●分という場合に、○時の「時」は「バジェ」といい、●分の「分」の方は「ミナット」といいます。例えば、11時15分だと、ギャーラ(11)・バジェ(時)パンドラ(15)・ミナット(分)というふうに。

私はてっきりこの「ミナット」を英語のminuteをインド訛りっぽく言ってるものとばかり思ってました。そこで、どうして「時」とか数字はヒンディーなのに、「分」だけ英語なんだろう?って、ふと疑問に思ったんですね。で、聞いてみましたところ、「ミナット」もヒンディーだというんです。確かに、辞書にもमिनट「minaT」(分)って載ってました。

ということは、この「ミナット」というのは、英語経由でヒンディーになったわけではなく、多分サンスクリットに語源があるんでしょう、ということになって、調べてみますと、確かに語根mīで「減少する」とか「破壊する」という意味があって、mīnātiとかminotiいうような形が確かに似てます。

英語のminuteもラテン語のminutus?(縮小する)というところからきてるようですし。サンスクリットとラテン語、両者に共通して「縮小する」という意味があるようです。となると、両者の共通祖語である印欧祖語というのが想定されるんでしょうね。

更にぐぐってみますと、こんなサイトを見つける。

そちらで、Indo-European etymologyのqueryで、meaningのところを「minute」で検索してみますと、次のような画面になります。

Proto-IE*1: *(e)mey-


Meaning: small, little


(中略)


Old Indian: minoti, minā́ti, mīnāti, pass. mī́yate, mīyáte, ptc. mīta- (in pra-mīta-) `to lessen, diminish, destroy'; manyu-mī- `destroying hostile fury'


Old Greek: minǘthō `geringer werden, dahinschwinden', minǘ-zdēo- = oligóbios Hsch., minǘ-ōro-, minü-ṓrio- `kurze Zeit lebend', adv. mínüntha `eine kleine Weile, nur kurze Zeit'; comp. méi̯ōn, n. me^i̯on `kleiner', me^i̯o-n n. `Kleinvieh (Schaf, Lamm), das an den Apaturien geopfert wurde'


(中略)


Latin: minor, -ōris, n. minus `kleiner, geringer', pl. `kleine Leute; Nachkommen'; adv. minus `weniger'; minimus, -a `der kleinste', minister, -trī m. `Diener', minuō, -ere `verkleinern, verringern, minden, schmälern'; adv. nimis `allzusehr', nimius, -a `übermässig unmässig, zu gross'; permitiēs, -ēī f. `Verderben'

これによれば、minaTとかminuteなどの印欧祖語というのは、「(e)mey-」(?)ということが判明する。へぇーということになって、インド人と共に何か納得してしまいました(笑)。「(e)mey-」って何よ?、とか、何でそうなの?というのはよくわからないんですが。

印欧祖語については、以前『印欧語の故郷を探る』(asin:4004302692)という本を読んだことがあるくらいで、詳しくはありませんが・・・興味深いですねぇ。

*1:これが印欧祖語のようです。Internet Exploreではなく(笑)。