相変わらず、中世の神仏習合のレポートをやってます。佐藤弘夫先生の本を飛ばし読みしつつ、末木文美士先生のにも手を出す。特にこちらはコンパクトにまとまってて重宝してます。
- 作者: 末木文美士
- 出版社/メーカー: 山川出版社
- 発売日: 2003/05
- メディア: 単行本
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日本にもともとあった神祇信仰が仏教の教義を取り入れつつ、神道になっていくというくだりで、面白いなと思うのが、神道が仏教から自立していくのに、その拠り所としたのが仏教の先にあるヒンドゥー教の神話だったというところ。
伊勢外宮の度会氏の間に伝えられた『大和葛城宝山記』の世界創造のところで、ヴィシュヌの臍から蓮華が出て、そこから梵天が生まれるというヒンドゥーの神話をベースにしたのが出てきます。仏教優位とはいえ、仏教に吸収されつくされない神道自立の道を模索する中、仏教を生み出したヒンドゥー教の神話に中世神道家たちは着目したというのです。
その話は直接的には仏典の『雑譬喩経』に基づくそうですが、中世神道の創始者たちが、その視線を広くアジアへ向けていたことがうかがわれて、興味深いところです。
また、「中世神道」入門はこちらが参考になります。