偽経

先日、知人の方に面白いよと薦められ、私も入手して読んでみました。

ジャン・ナティエ著 「『般若心経』は中国偽経か?」 工藤順之 吹田隆道訳
三康文化研究所年報 第37号(2006年)所収

もとは、下記の英語版のようです。

Jan Nattier, "The Heart Sutra: A Chinese Apocryphal Text?" The Journal of the International Association of Buddhist Studies 15-2, 1992, pp.153-223.

『般若心経』が玄奘によって、中国語からサンスクリットへ翻訳され、中国からインドへもたらされたという説が述べられるわけですが、具体的には、漢・梵の『大品般若経』と『般若心経』の文献的異同から還梵の問題、『般若心経』の注釈書がインドで書かれる遙か前から中国ですでに流布していたこと、などなど興味深い事実が明らかにされてます。

中国人が仏教の「受容者」であって「創造者」ではなく、経典が専ら西から東へ伝播したという「通説」からすると、ちょっとショッキングなものかもしれませんね。玄奘がインドへの道中、危険な目に遭うたびに、『般若心経』を読誦したという有名な伝承も、違った意味合いを持ってくるということでしょうか?

ウィキペディアにも載ってますので、すでにご存知の方も多いのでしょうね。

般若心経-Wikipedia
偽経-Wikipedia

ま、たとえ偽経であっても、『般若心経』の価値を損なうということにはならないのでしょうけど…。

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