先日、修論関係を進めなければ…ということを書きました。また、それよりだいぶ前にもちょっと気になるということを書きましたが、一応修論は『楞伽経』(Lankāvatāra-sūtra)にしようかなと、考えてます。卒論で『起信論』を取り上げたということもありまして、ま、流れとしては自然な感じでしょうか。『楞伽経』といいますと、「不立文字」「教外別伝」の思想的根拠が示され、禅宗で重んじられている経典ですが、唯心思想や如来蔵なども出てきまして、結構”寄せ集め”的な感もないではない、というお経です。一応、唯識思想の系譜の上にどう位置づけられるか、みたいな方向性で考えております。前に計画書を提出し、一応OKしていただいてますが、ちょっと修正して、再度提出するつもりです。
梵文原典は南条本といわれるのがありまして*1、それと漢訳『四巻楞伽』『十巻』『七巻』、チベット語訳は梵語からの翻訳の他、禅宗が盛んであった9世紀敦煌で、『四巻楞伽』から重訳されたものまであります。というわけで、梵・漢・蔵という三種があることになります。チベット語も少しは分かるようになりましたので、レポート最終試験が終わったら読んでいきたいところです。
一般的にはこちらの現代語訳がポピュラーでしょうか。
- 作者: 中村元
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あとは、高崎先生の仏典講座〈17〉楞伽経 (1980年)とか。
そういえば、昨年11月公開で話題になり、アクセス集中で利用できなくなってました欧州文化遺産のマルチメディア図書館Europeanaですが、このほどアクセスできるようになったようです。仏教関係でもいろいろと利用できるかもしれませんねぇ。
それにしても、こちらにもありましたが、本という媒体も、やがては、「有機ELのパネルに太陽電池と薄型半導体がいくつかくっついて、検索機能や表示の文字サイズ変更機能や高性能の脚注索引機能やメモ機能が付加された高性能IT知性媒体」という代物になっていってしまうのかもしれませんな…(笑)。
*1:南条文雄校訂『梵文入楞伽経』昭31年刊。古本で30,000円くらいはします…(涙)。それに安井広済訳『梵文和訳 入楞伽経』となると、もう手が出ません!!