先日、書物誕生シリーズのこちらの本を読みました。ギーターの内容紹介というよりは、むしろシュレーゲルをはじめとする欧州言語への翻訳とそこに潜むサンスクリット言語・(口承)文学というものの特殊性について多くを割いているという印象です。中でもヨーロッパのサンスクリット文献学の端緒を開くシュレーゲルのデーヴァナーガリー活字の製造やギーターのラテン語への翻訳、そしてフンボルトやヘーゲルのギーター理解…の箇所は今まで知らなかった面もあって興味深く読みました。
バガヴァッド・ギーターといえば、聖書の次にヨーロッパで読まれ、様々な言語に翻訳されていますが、それはその内容もさることながら、約700偈頌という、ちょうどよい分量にも広く読まれる原因があるのでは?と本書の中でいわれてます。つまり、マハーバーラタのように全てを訳すのに困難な量ではなく、全訳してみようという意欲を起こさせるというのですね。ま、それは私にとっても同じことで、サンスクリットの勉強でギーターを最初から読んでみようと以前思ったことがありましたが、全く進んでないという…(笑)。
ギーター本は色々とありますが、こちら(asin:8129300931)はデーヴァナーガリー文とローマナイズ、そして英訳が各偈頌にあり、上村先生訳のと合わせれば、自分で読んでいくことができようかと思います。あと、先日検索してて見つけたのですが、ギーターの詩の訳と解説を最初から毎日更新していっているブログを発見しました(参照)。一日一節というと約2年で全詩が完成ということになりますが、こちらも独学の助けとなるものと思います。最近は、便利な世の中になったものだと改めて感じた次第です。
ともかく、私の場合は最初から訳していくというのは無理なんで、『バガヴァッド・ギーターの世界―ヒンドゥー教の救済 (ちくま学芸文庫)』などで取り上げられている詩を中心に原文を読んでみたいとは思います。ちなみにこの画像の本は、そのブログのお店でも購入できるようです。