現代霊性論

現代霊性論ちょっと息抜きにこちらの本を買ってみました。とりあえず、「スピリチュアルブームの正体」「日本の宗教性はメタ宗教にあり」などの部分を読んでみましたが、『不干斎ハビアン―神も仏も棄てた宗教者 (新潮選書)』と重なる部分があるな、という印象でした。今、ポスト新宗教にはしる人々の特徴というのは、自我が少しでも傷つけられるのを嫌がり、頭を下げ、体育会系な師弟関係を結ぶことなく繋がろうとする、いわば自我を温存したまま宗教に関わるというパターンが挙げられるそうです。その本でも言われてますが、本来宗教に入信するというのは、何らかの事情によって自我が壊されるときであって、そうした経験の果てに見えてくるものがあって、それによって人格や価値観が再構築がされるものなんだと思います。でも、今のポスト新宗教では、そういうのよりも、むしろ宗教を「道具」として使う、それぞれの宗教のいい部分だけを「つまみ食い」する、そういう宗教の個人化が進んでいるみたいなんですね。


その土台には、広い意味でいうスピリチュアリズム・ムーブメント、つまり特定の宗教にコミットしないけれども、世俗的な価値のみに生きるだけではなく、何らかの宗教性を求める動きというのがありそう。自我を持ち、自律した個を持ちながら、理知的に、頭で宗教を理解しようという傾向もそうだと思います。そして、それらが神も仏も棄てた男である不干斎ハビアンの宗教性と重なるかのようです。無宗教の原型とも言われ、東西の宗教を相対化させ、「無智無徳こそが真実」だと言い切り、釈先生いわく「世界初の本格的比較宗教論者」であると言われたハビアンが、まるで現代に生きながらえているかのようです。


知人から聞いた話ですが、ジュンク堂でいまだによく売れている仏教書に佐々木閑先生の『犀の角たち』があるそうです。仏教と科学とが同じ構造だ、釈尊本来の仏教が神秘性を排除した極めて合理的なものだという話がウケるのも、そうした自我を温存しつつ頭で宗教を理解しようという、現代の霊性文化が背景にあるように思えたりもするんですが、どうでしょうか…。