古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

牛歩のごとく

先日来『楞伽経』に取り掛かっているんですが、なかなか進まず、一抹の焦りも感じてる状況です(苦笑)。進まない理由はやはりサンスクリット。単に私自身の能力の低さが原因なんですが、精密な文法的な理解を適用しようと試みれば試みるほど、牛歩のごとく遅々とした歩みにならざるを得ないという…。具体的な構想、内容構成等はほぼ固まったのですが、まだまだ読解作業は続きます。すでにある和訳を活用させてもらえるという利点はあるんですが、そこから先は自分次第。


思考の整理学 (ちくま文庫)さて、そんな中、店にあったこちらの本を手にとる。「東大、京大で一番読まれてる本」という帯の宣伝文に釣られて買うケースが多いのかなとも思います。何せ、初版が昭和61年、20年以上前の“思考の整理学”ですからね。といっても、本質を捉えた簡潔な文章は時の試練に耐えることができるわけで、今読んでも味わい深い文章だと思います。とりわけ目新しいことが書かれてるわけでもなく、読みやすいんでサラッと読んでしまいますが、うなずく箇所は多いです。例えば、中国の欧陽修という人の「三上」なんかもそう。いいアイデアが浮かぶのは、「馬上、枕上、厠上」だというのですが、現代風に言えば、通勤電車内や、布団やトイレの中になるようです。いいアイデアが浮かぶのはどういう環境なのか?そのためには情報や頭の中を如何に整理すればいいか?その辺のことをやさしく解説してくれる入門書です。


なにを隠そう、私自身も通勤電車内で、修論についていいアイデアが浮かんだと思って忘れないうちにメモすることもあるんですが、あとあと調べてみると、ボツになることが多いですね(笑)。ま、そうした中から使えるものが出てくるんだろうとは思いますが、とりあえずは、夏の中間発表会でまた発表できないかと準備してます。