古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

珍しい!

先日、全古書連大市という一大イベントがあったんですが、そこで入手したものの中に、シルヴァン・レヴィの『梵文唯識二十論・三十頌』が入っておりました。元版は1925年にパリで出たものですが、今回のは1940年に上海でリプリントされたというもの。いわゆるフランス装の形で、初めに見たときこれは元版か!と見間違えた程よく似ております。が、表紙に「梵文唯識二十三十論疏 Reprinted in Shanghai,China 1940」と表記されてるのを見て、こういうのもあったのか!と、違う意味で驚いたのでした。


f:id:furuhon-ya:20100417145050j:image:w250

LÉVI, Sylvain : Vijñaptimātratāsiddhi,deux traites de Vasubandhu,Viṁśatikā accompagnee d'une explication en prose et Triṁśikā avec le commentaire de Sthiramati, Paris, 1925


しかし、こういう古ぼけた薄い小冊子が、こっそりと紛れ込んでいるとは!下見の日に見たときは、例のシンポジウムがあったので、十分に時間をかけてみることができず、実は見落としていたのですが、入札日の朝、見落としがないか再度確認して廻っていたところを発見したのでした。ま、『唯識三十頌釈』については、前にご紹介しました通り、批判校訂版が新たに出ており、31ユーロほどで入手可能ですが(参照)、このレヴィ本はなかなか古書市場では見ることがないですねぇ。元装は図書館で見たことがありますが、結構使い込まれた様子で、かなり補修の痕があったのを覚えております。


ついでに言いますと、実は、ラモットの『解深密経』(Saṃdhinirocana sūtra, 1935 Louvain )も探してはいるんですが、なかなか見たことありません。本学の図書館にも所蔵されてないようですし、珍本なんですかね。『解深密経』はACIPで見れますからいいんですが…。