古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

坐禅,止観,ヨーガ…

禅問答入門 (角川選書)先日発売された本書ですが、早速購入して読んでみました。まず初めに、何のために坐禅をするのか?という前提から書かれてる分かりやすい入門書だと思います。日本の禅宗は中国の南宗禅の系譜ということで、如来蔵、頓悟の流れを汲むものですので、それは迷いの凡夫が悟りを開いて仏陀になるために坐禅をするのではなく、自らが仏陀であることを気付くために行う坐禅となるわけですね。所謂、見性成仏、本来面目ですか。というより、目的をもってするのではなく、只管に坐禅をするというべきかもしれませんが。


しかし、今の時代、禅宗だけでなく、坐禅とか瞑想、ヨーガについての本は、いろいろ出てますよね。禅というのが、もともとのインド的な要素から、中国的に変化して体系化されて坐禅となり、やがては止観もその一部のようになってしまったように、その流れは複雑です。上座部系の瞑想法としてヴィパッサナー瞑想も、かなり話題になってますが、例えば、こちら*1を読みますと、その流行の背景を知ることができるかと思います。


そういう意味では、坐禅に興味をもって、これからはじめようという普通の方にしてみれば、いろいろ迷ってしまうところもあろうかと思います。個人的には、華厳経の唯心思想や各種三昧経典などから、ヨーガ(瑜伽)の実習に基いた唯識が生まれ、その止観行をもとにそれ以降の展開を理解していきたいと思ってるんですが、なかなか至らず…な感じです。以下、これまで私が読んで参考になったものを列挙してみます…。


禅思想―その原型をあらう (中公新書 (400))

禅思想―その原型をあらう (中公新書 (400))


こちらは中国禅〜日本のを考える上では必読かと。

ダライ・ラマ大乗の瞑想法

ダライ・ラマ大乗の瞑想法


こちらは、サムエの宗論で頓悟を選ばず、漸悟を選びとったチベットで用いられてる、インドの学僧・カマラシーラによる『修習次第』の解説本。現在は品切れか…。

天台小止観―坐禅の作法 (岩波文庫 青 309-3)

天台小止観―坐禅の作法 (岩波文庫 青 309-3)


やはりこれも必読。

天台小止観―仏教の瞑想法

天台小止観―仏教の瞑想法


それにしても、インドのヨーガ(瑜伽)という言葉は、なぜ中国では一般化しなかったのでしょうか…。

*1:特に「流行としてのヴィパッサナー」以下の箇所