古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

買ってしまった…

先日、新刊書店に行って、普段あまり行かない哲学書のコーナーに立ち寄ると、こちらの本が平積みされてるのが眼に入りまして、思わず買ってしまいました。

青色本 (ちくま学芸文庫)

青色本 (ちくま学芸文庫)

「もっとも読みやすいウィトゲンシュタイン」と帯にあれば買わずにはいられないでしょう。私にとっては、通勤電車内用なんですが、これによって濃密な通勤時間が過ごせそう。


ウィトゲンシュタイン関連で最近読んだものとしては、こちらの本が面白かったです。

ウィトゲンシュタインの「私」をめぐる思考を追いかけるのに、その補助線として『維摩経』の維摩の沈黙を挙げているのは、「不二の法門に入る」というお名前を持つ著者ならでは。それによって、例えば、独我論の「私」というのが、世界の全てであると同時に無となってしまうなどの面白い論理展開があります。


維摩の沈黙は、(二項対立としての)不二の法門という言語ゲームの外にあるのか、あるいは、ただ単にぼぉーっとしていただけで、(不二の法門の)言語ゲームにそもそも巻き込まれていないところにいたのか?それらが原理的に区別できず、悟りとおおぼけが一致するという可能性(!)など、ウィトゲンシュタインによって提起された、哲学特有の頭がクラクラするような問題がそこに示されてます。