こちらが発売されたようです。
- 作者: 興膳宏
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/08/20
- メディア: 新書
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仏教が中国に伝わったのは、西暦1世紀の後半。それは中国人にとって、宗教の次元を超えた、異文明との衝突と融合の初体験でした。まずことばの問題があります。インドのことばを漢語に移すに際して二つの方法がありました。サンスクリット語のbuddhaを「仏陀」と訳す音訳と、「浄覚」と訳す意訳です。表意文字である漢字の表音機能にとは、それまでにもないわけではなかったのですが、仏典の翻訳という事業がなければ、これほど大きな現象にはならなかったでしょう。
漢字の用法にも変化が生じました。「寺」という字は、仏教伝来当時、鴻臚寺のように「役所」の意味でしたが、西域から訪れた僧侶が鴻臚寺で接待されたところから、やがて「てら」の意味が生まれてきます。また「僧」の字は漢のころにはまだ存在せず、サンスクリット語の音写文字として新たに作られました。このように仏教を切り口にして漢語の歴史を眺めると、今まで気づかなかった新しい風景が見えてきます。
(岩波新書編集部より)