古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

A Primer for Classical Literary Tibetan

f:id:furuhon-ya:20120406133735j:plain:w200:rightこちらを少しずつ読んでます。とりあえず四割ほど読みましたが、私が以前勉強した本と比べると説明がかなり親切丁寧で、分かりやすいと思います。私が買ったのは第2版ですが、解答付の練習問題が結構あって、例文はどれも仏教文献からのものです。

私が思うに、チベット語初学者にとっての難関は、その文章構造がどうなっているのか?それをうまく捉えられないところにあると思います。チベット語ってほとんどの音節がそれぞれ独自に意味を持っているので、慣れないうちは、どこからどこまでがひとまとまりなのか、そしてそのまとまり同士のつながりがどうなっているのか理解するのに苦労します。

例えば、rdor rje 'changという単語一つをとっても(梵語のvajradharaのことですが)、rdorが「石」、rjeが「王」、'changが「持っている」という意味があるわけで、そういう感じに訳していくと、文章全体が何のことをいっているのかさっぱり分からん!…となってしまうんですね(苦笑)。ま、それは本当に最初の段階ですが(^_^;

この本は、初心者が陥るそういう点についてもちゃんと触れていて、そんな風に配慮されているところにまずは好感を持ちました。そして、例文を図式的・構造的に解説しているのが良いところだと思います。付録の読本には解答は付いてませんが、本篇の文法をしっかりやれば、自ずと解答は導き出せる力が備わってくるのかなと思います。

日本ではあんまり売ってない、値段が割高だ(私は2冊で7,000円弱で買いました)というのが惜しまれるところですが、古典チベット語の入門書としては、お薦めだと思いますよ!