古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

龍樹文献群

ご無沙汰しております。9月から11月にかけて、いろいろありまして、なかなか更新できませんでした。そうこうしてるうちに、今年も残すところあと2週間余りとなってしまいましたが、最近はやっと、日々少しだけですが、勉強時間を確保して、何とかパートタイム研究生活に復帰できつつあります(苦笑)。

空と中観 (シリーズ大乗仏教)さて、この前発売されたこちらを早速買いまして、読み始めております。個人的には前半二つが関係してきますので、じっくりと読ませていただきました。特に、五島先生のは、すでに発表されている他の論文(ネット上で読めるのだと、例えば、こちら)も含めて参考になります。中論以外に、空七十論、六十頌如理論、宝行王正論、廻諍論、大智度論、十住毘婆沙論、菩提資糧論、十二門論…など様々な文献が龍樹作とされていますが、それらの著者を全て本当に龍樹に帰すことができるのか?それとも龍樹は一切智者だから!、あらゆるテーマについて自由自在に論じることができるのか(笑)、つまりそれらの著作全てを龍樹に帰すことができるのか?そんな疑問に対し、科学的にきちっと論証されてます。ちなみに、その点については、こちらの本の“自称仏教研究者”さんのレビューも参考になります。

結局のところ、般若経の出現に刺激を受けて、匿名の作者たちが多くの大乗経典を生み出していったように、中論に影響を受けた(匿名の)者たちが龍樹の論理や論法を自由に用いながら様々な龍樹文献を生み出していったということになるんでしょうね。

実は、私も龍樹文献群にあたらなくてはならなくなりそうで、これからいろいろと資料を集めたいと思っているところです。まずは、本書の中でも紹介されてました、こちらを取り寄せてもらってます。

書名:中論頌-梵蔵漢合校.導読.訳注
編著者:叶少勇
出版社:百家出版社
出版年月:2011年6月
ISBN: 7547502393