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哲学の国籍

ちょっと前の話ですが、市場にいわゆる京都学派と呼ばれる人たちの著作、研究書が続いて出ました。西田、九鬼の著作集(旧版)はいつでもよく出ますが、それ以外ですと『善の研究』初版本(明44)!、西谷啓治著作集・全26巻!、燈影舎・京都哲学撰書…。西谷の著作集は、何か最近また高くなってきた感じがします。以前の感覚で入札しても落ちなかったです…。


哲学のヒント (岩波新書)京都学派ついでにいいますと、先日こちらの本を買いまして、パラパラと見ております。冒頭に、村上陽一郎先生の「哲学の国籍」という文章が紹介されてます。使用する言語と、その地域によって、哲学の特色というのが違ってくるというもの。英米系の科学哲学・新科学哲学が盛んに論じている問題系がある一方で、大陸の方では、そんなことはお構いなしに、伝統的な問題を研究している。考えてみれば、あの西田の「場所」というのも日本という地域や言語から出てきたんでしょうし、普遍的なテーマを探究するはず(?)の哲学が、哲学者の用いる言語やその地域の“伝統”といった制約を受けざるを得ないのは、なにか皮肉なものです。

今月は時期柄、沢山の本が入荷してますが、一番の大口はその英米系の科学哲学関係書。専門に研究されていた先生の蔵書です。哲学に国籍があるとすれば、英米系は人気があるところなんで、店頭に随時出していく予定。どうぞご期待ください!

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しかし、哲学の国籍となると、個人的に真っ先に思い浮かぶのはやはりこちらです。決定版と旧版選集では4冊ですが、もとは2冊もので、英語版は1冊です。この英語版も割とよく見かけます。中村先生の記念碑的な著作ですから、それだけ多くの方に読まれたのでしょう。サンスクリットの言語構造から人為よりも天意が優先されるというインド人の考え方の特色を指摘し、その他各民族固有の思惟方法が個人を律していることを明らかにした本書は、まさに哲学の国籍を考える上では必読だと思います。

Ways of Thinking of Eastern Peoples: India, China, Tibet, Japan (National Foreign Language Center Technical Reports)

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