古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

宇井伯寿先生の著作

以前、今年で宇井伯寿先生の著作権が切れるというのを知りました。私が古書業界に入ってからすでに15,6年経ちますが、入った当時はまだ宇井先生の本は結構高く取引され、それでも今よりは売れていたように記憶しています。しかし、最近は値崩れがひどくなってきました。(仏教書としては)発行部数も多そうですから、そのためかと思ってましたが、そのうえ著作権が切れるとなると、どこまで下がるのか?という暗澹たる気持ちです(苦笑)。


宇井先生の本は、どれも物理的に重量がありますし、岩波のは字体も文体も古風でかなり読みづらいです。なので、それだけ出回ってる割にはそんなに読みつくされてもいないのでは?と勘ぐりたくもなりますが、どうなんでしょう(^^;; 私も、『仏教汎論』を少しずつ読んでみるかと以前思ったこともありましたが、挫折しております(笑)。しかし、そんな重くてかさばる本を持ち出さなくとも、端末機で通勤電車内とかでさらっと読めるようになったら、それはそれで読者層が広がるのは間違いないのかもしれません。

とはいっても、やはり読みやすいものがいいですよね…。先日新しく出たこちらでは、現代の多くの読者が躓くであろう、あの言い回しは改められてまして、かなり感動的です!こちらこちらで中身のサンプルを見れますので、ご参考くださいませ。

仏教哲学の根本問題

仏教哲学の根本問題

仏教経典史

仏教経典史


現在の出版状況下で、こうした試みを敢えてする出版社には敬意すら覚えます!


宇井先生のお弟子さんである中村先生の文章が読みやすいのは、やはり師匠を反面教師とするところが多かったんでしょうねぇ…。