古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

チベット語の般若心経

先日、ここをご覧いただいたという方から、店に電話がありました。そのRockwellの本を入手したいそうなんですが、品切れになっているようで、入手困難な状況であると。調べてみますと、確かにamazonではOut of Printとなっていて、古書の検索サイトで見てもヒットしません。版元のサイトを見ると、まだありそうな感じにも見えるのですが、どうなんでしょうか?


チベット語といえば、ちょっと前にこちらの本が出ました。護国寺に移ってからのカワチェンでやっていた講座の書籍化。行きたいとは思ってたのですが、仕事もあって行けなかったので、本になって喜んでおります。

チベット語の般若心経―対訳と解説

チベット語の般若心経―対訳と解説

本文と対訳、逐語解説があり、とりあえず文法を一通り終わらせた方なら、独力で読めるような感じになってます。それだけでなく、チベット語の文字と発音、助詞についても説明があり、これからチベット語を学ぼうとされる方が手に取れるような計らいもされてます。さらに、六道輪廻図の解説や複数の速度で朗読したのを収録したCDも付いてます。詳しくはこちらをご参照ください。

同じような趣旨のサンスクリット版としてはこちらが出てますね。

サンスクリット入門 般若心経を梵語原典で読んでみる   アスカカルチャー

サンスクリット入門 般若心経を梵語原典で読んでみる アスカカルチャー

こちらの本は、和訳・英訳、チベット訳の諸訳を対照して意味を考えているところもあって、興味深い点もあります。明日香出版というと実用書・ビジネス書のイメージが強いので、どうなのかなと思って手に取ると、なかなかどうして結構本格的な本だったのを覚えてます。ビジネス書のコーナーに置かれてることが多かったですが、その棚からはかなり異彩を放っているのを見たものでした(笑)。


梵文の南条ミューラー本は最近はもうオンデマンド本で流布しております。現代語訳は、中村・紀野訳『般若心経・金剛般若経 (岩波文庫)』、金岡秀友訳『般若心経 (講談社学術文庫)』、渡辺照宏訳(世界の大思想2-2仏典)、立川武蔵訳(『般若心経の新しい読み方』)をはじめいろいろ出てますが、このチベット訳と照らし合わせてみるのも面白いと思います。梵文の方は、正規のサンスクリットとしてはちょっとおかしいところもあり、初学者がいきなり読むのはどうかとも思いますが、チベット訳を参照して読むと理解も進むというものです。そういう意味では、上記のチベット語の対訳本は、一般向けに画期的な本といえるでしょう。