大乗のアビダルマ

近年、そのサンスクリット写本が発見され、校訂テキストも出され、注目を集める世親の『大乗五蘊論』ですが、待望の一般向け解説書が出ましたので、早速買ってみました。

『大乗五蘊論』を読む (新・興福寺仏教文化講座)

『大乗五蘊論』を読む (新・興福寺仏教文化講座)

興福寺仏教文化講座のシリーズの中の1冊。一般的にはあまりなじみがない論書かと思われますが、世親の他の著作とはどういう関係なのか、そこに説かれている唯識思想はどんなものなのか、いろいろ興味はあるところです。本書冒頭には「『大乗五蘊論』を読む前に」と題する導入部分がありまして、背景が簡潔に説明されてます。そこにも書かれてますが、これまでは『大乗五蘊論』は『倶舎論』から唯識思想へと変わっていく過渡期の著作とされてきたようですが、近年ではもともと『倶舎論』を書いてる時からもうすでに唯識思想家であったとされるなど、見直されるべきところもありそうです。いずれにしても有部のアビダルマの上に乗っかった、唯識派の立場からの大乗のアビダルマはどういうものか?今後の研究が俟たれますが、とりあえず、本書をこれからじっくりと読ませていただくことにしましょう。


以下はその写本校訂テキストと安慧の註釈本です。

Vasubandhu's Pancaskandhaka (Sanskrit Texts from the Tibetan Autonomous Region)

Vasubandhu's Pancaskandhaka (Sanskrit Texts from the Tibetan Autonomous Region)

  • 作者: Toru Tomabechi,Li Xuezhu,Ernst Steinkellner
  • 出版社/メーカー: Austrian Academy of Sciences
  • 発売日: 2008/12/31
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログを見る

Sthiramati`s Pancaskandhakavibhasa: Diplomatic Edition (Sanskrit Texts from the Tibetan Autonomous Region)

Sthiramati`s Pancaskandhakavibhasa: Diplomatic Edition (Sanskrit Texts from the Tibetan Autonomous Region)