古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

これからのエリック・ホッファーのために:在野研究者の生と心得

以前、こちらでも触れましたEn-Soph 在野研究のススメが書籍化されましたので、早速購入いたしました!

これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得

これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得

内容については、こちらに詳しく載ってます。タイトルにエリック・ホッファーを持ってくるあたり、著者の面目躍如な感じがします。その波乱万丈な人生もそうですが、学術機関に頼らずに、しかも絶望的な状況の中で働きながら読書と思索を続け、独自な境地に到達した沖仲士の哲学者。彼についてはこちらがマスト文献。

エリック・ホッファー自伝―構想された真実

エリック・ホッファー自伝―構想された真実


昨今の文系の大学が危機的であることは、皆さんがご承知の通り。若手が安心して研究できる場なんてもうないのかもしれない。

しかしそれで終わりだろうか?明らかに、そうではない。たとえ大学が終わったとしても、私たちは生きている。生きて働いている。そう、小さなホッファーのように。ならば、彼がそうであったように、私たちもいまここから学問的研究への小さな一歩を踏み出すことができるはずだ。

大学なんて終わるのなら終わればいい。でも、私たちは終わらない。そして、私たちが愛する研究の営みも終わらない。大学が終わるのが惜しいのならば、終わったあとに、また一から始めたらいい。大事なのは「廃墟と化した大学を嘆くのではなく、廃墟のあとにいかなる未来図を描くのか」

在野研究とは、アカデミズムに対するカウンター(対抗)ではなく、オルタナティブ(選択肢)なんだとは、まさしく言い得て妙だと思いますが、本書は先人である在野研究者の歴史を辿り、そこから在野研究の心得を打ち出してます。


その最後の、そして本書最大のメッセージでもある心得が、

この世界にはいくつもの<あがき方>があるじゃないか?


というもの。

研究をやりたいといっても、別に大学に所属しなくてもいいじゃないか!、在野研究者という選択肢があるじゃないか!そう我々を導き、激励してくれる数々の先人たちを知る、それは自らが前へ進むための見取り図にも、支柱にもなるでしょう。


個人的には、こういう本が出たことをとてもうれしく思います。


というか、在野研究者の端くれである私にとって、非常に勇気付けられました。