印仏研・校了と発表申込

間が空いてしまいましたが、その間には『印仏研』和文原稿、英文要旨の校正を終えました。それと同時に、今年度の発表申込が始まりましたので、その申込も済ませました。今回も、全面オンラインということなので遠方に出張することなく、助かります。

 

内容としましては、これまで読んできた写本に関することで、博論の最終ピースになるものです。博論は11月に提出しなければならないので、4月からそろそろまとめていかないとなぁという感じです。

 

さて、注目の本を購入しました。

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ショペン先生の本は、私がやってることにも大変参考になるものですので、これから読んでいきたいと思います。

印仏研・初校ゲラ

印仏研第71巻2号掲載予定の拙稿初校ゲラが出来上がって来ました。

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「唯心」は「唯識」の同概念として理解されてきたように思いますが、それとは別の意味もあって、当時の仏教者には両者の違いははっきりと理解されていたのではないかという内容です。ちょっと、分量オーバーでしたので、どこを削ろうかという感じで校正し、提出いたしました。

アンソロジーとしての大乗経典

久しぶりの更新になります。

11月の発表会後は、途中で入れ替わる、例の東大写本(松濤カタログNo.333)を調べていました。

 

もう一つの経典とは、月燈三昧経としても有名なこちら。

 

写本の上からは、途中で各章の順序が入り組んでいて、それらがどういう順序で並んでいるのか確認しておりました。で、それら独立した各章と、別の経典が一つにまとまっていたことは、こちら*1でも指摘されているように、アンソロジーとしての大乗経典ということを思えば、納得できるものですが、そこに何らかの共通性があるのか、というのを考えておりました。

 

ただ、この問題に深入りする時間はないので、とりあえず、寝かせておきます。

 

*1:

新アジア仏教史05 中央アジア 文明・文化の交差点

松濤ノート

東大図書館には、高楠順次郎河口慧海の両氏によって収集された梵文写本が570部所蔵されているそうですが、そのカタログは松濤誠廉先生によって作成されてます。

 

松濤先生がその調査をした際にまとめた直筆ノートというのが公開されております。

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iiif.dl.itc.u-tokyo.ac.jp

 

私が読んでる写本についても記述があります。それを読んでいく上で、非常に便利なので、よく参照させてもらってます。写本中にも、その一部分にノートを参照せよという、松濤先生が付したと思われる付箋があるので、このノートを見ることになります。

 

最近気になってたのは、同一の写本が東洋文化研究所で公開されているものと、総合図書館で公開されてるものとで、その順序が異なるものがあるところです。今まで何度か言及している、途中で違う経典に入れ替わってしまう例の写本なんですが、写本に付された番号―たぶんこれは松濤先生が付けたもの―がその番号順に並んでるものとそうでないのがあります。おそらくデジタル化に際して、その順序を経典ごとに並び替えたのかと思うのですが、番号が付いてないのはランダムに並んでいたりして、よくわからないところがあります。

 

その辺はさすがに松濤ノートでは分かりませんので、自分で調べるしかなさそうです。

写本に欠落が…

写本を読んでると、途中、突然欠落してる箇所に遭遇することがあります。

 

何の前触れもなく、突然に。

 

当たり前ですが(笑)。

 

で、その欠落してる部分のテキストを探していると、おかしいなと戸惑ってしまうことになります。結局、電子テキストを参照してその周辺部分を読んでいくわけですが、そういうことをしてるとそれなりに時間も取られてしまいますし、何ともすっきりしない気分になってきます。今回もそういうモヤモヤが2、3日続いておりました(苦笑)。

 

前にもこういうことがありましたが…。

furuhon-ya.hatenablog.jp

 

あと、また別の短い写本断簡では、読んでいくとどうも全然内容が違う、別の文献であるみたいだということに気づきますが、何だろうって思って読んでも私にはまったく分からない。写本のタイトルには確かにその経典名が付いているけど…おかしいな、と。

 

で、よくよく見てみると、冒頭、写本に付されている分類名がĀyurvedaってなってたり!(笑)

 

もっと早く気付けよって話なんですが…(笑)。

 

まぁ、そういうこともありますね…。

本学へ

昨日は10時前に京都へ着いてまずは図書館へ。

 

今回の目的は、こちら

 

リンク先にもありますが、こちらはデルゲ版カンギュルを底本として永楽版、リタン版、北京版、チョネ版、ナルタン版、ラサ版、庫倫(クレ/ウルガ)版をそれぞれ比較校合している決定版です。

 

つまり、これ1冊あれば、各版の異同が分かるという優れものなんですが、新刊ではセット販売が中心で、バラ売りはしてなさそうだったのと、私の出身大学にはなさそうだったので、本学の図書館で何とかならないかと期待しておりました。

 

学部資料室所蔵とのことだったので、行こうとしたのですが、生憎、そこは平日しか開いてないといわれて、残念ながら諦めるしかありませんでした。持ち出し禁止の本ですが、それでも送本してくれるものもあるとのことで、それに期待するしかなさそうです…。

 

で、肝心の発表ですが、やはり発表をすると、有益なご指摘をいただけますし、やってよかったなと思ってます。今回は、不明だった写本について先生から助言もいただけたので、助かりました。今後は今回の発表をもとに1本論文を書く予定です。