satva or sattva ?

GWは、仕事に行く以外は基本的に部屋に籠って勉強です(^^)

 

連休中、twitterで知ったこちらの船山先生の論文を読みました。

 

それと関連するこちらの論文も。

zenodo.org

 

一般的にネパール系の写本ではsattvaやtattvaなどをsatva, tatvaと表記しているようです。あと、rの後の子音が重複されるとか(dharmaやvartateをdharmma、varttateなどのように)。

 

私が読んでいる写本でもsattvaはほとんどsatvaとなっていて、しかも、校訂本はそれをsattvaと注記もなく訂正してまして、私も前から疑問に思ってたところでした。その点で、非常に興味深く読むことができたのでよかったです。

 

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あと、船山先生の論文にある、satvaがヴェーダ語のsatvan(勇者、英雄、戦士etc.)と関連があるのではないかというのもすごく興味深いところ。bodhisatvaを菩提薩埵と訳す場合、薩埵の語義に丈夫とか立派な人という意味が込められていて、それはヴェーダ語の意味を酌んでいるのではないか⁉というのも興味深く思いました。bodhisatvaのインド的な意味はその辺なんでしょうか。つまりsattvaよりもsatva?

 

こんな感じで、satvaかsattvaか、一文字入るか入らないかを巡って、立ち止まって一日考えていたりするんで、なかなか進まないんですよね…(笑)。

 

外出自粛!

緊急事態宣言が出され、異常な事態になっております。いろいろと心配なことが増えますが、こういうときは、今までサボっていた勉強をするにかぎるということで、自室にこもって作業する時間が増えました。

 

現在、各写本の異同をすべて見た上でのクリティカル・エディションを作ろうという野望をもっておりますが、写本が沢山ありすぎて、全然進んでおりません…(苦笑)。

 

とりあえず、ネット上で見れる東大所蔵の7種の写本と唯一の校訂本を対照して読んでいってます。特に、読み方が変わってくるような異読は多くなく、誤記やそれぞれの書き手のクセが目立つような感じ。種類が多いので、時間もかかるし、結構大変ですね。

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しかし、この7種の他にも、書籍化されてるのですと、龍大所蔵の善本叢書シリーズの1冊とインドのśatapitaka series中の1冊があり、その他ドイツ・ハンブルク大学所蔵の写本が11種あるんですよね。それぞれフォリオサイズで100葉以上あるのを果たして複写して送ってもらえるのだろうか?それともオンライン上での公開を待った方がいいのか、などなど素朴な疑問を持ってるのですが、今回のコロナ騒ぎがひと段落したら問い合わせてみたいと思ってます。

 

それはそうと、文献学の入門書であるこちらを読み返してます。

テクストとは何か:編集文献学入門

テクストとは何か:編集文献学入門

  • 発売日: 2015/10/29
  • メディア: 単行本
 

furuhon-ya.hatenablog.jp

 

 あとは、以下も再掲になりますが、時間とお金に余裕ができたら読んでみたい。

Scholarly Editing: A Guide to Research

Scholarly Editing: A Guide to Research

  • 発売日: 1996/01/01
  • メディア: ペーパーバック
 
Textual Criticism and Editorial Technique (Teubner Studienbuecher Philologie)

Textual Criticism and Editorial Technique (Teubner Studienbuecher Philologie)

 

 

声の文化と文字の文化

 こちらに所収されている「大乗仏教の成立」では、下田先生が大乗経典の起源について書かれてます。

世界哲学史2 (ちくま新書)

世界哲学史2 (ちくま新書)

  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: 新書
 

 大乗仏教の起源については、いまだ定説がなく、学会でも議論が盛り上がってます。これまでの説では、大乗経典に相応した教団があったのだろうという(暗黙の)前提があったのですが、どうもそうではないんじゃないかという見方が近年の主流です。

 

大乗経典の方が先に成立していて(古いもので紀元前後)、それに相応した教団というのは、後代(5、6世紀)になってようやく成立したといわれてます。それについては、書写経典というのがキーポイントで、知の伝承媒体が声から文字へと転換することで、仏教の知識のありようが劇的に変化し、そこに大乗仏教の起源も関係してくるのではないかということなんです。

 

その辺は、こちらに詳しいということなので、読んでみたいです。

声の文化と文字の文化

声の文化と文字の文化

 

 

 下田先生の注目の近刊はこちら。

仏教とエクリチュール: 大乗経典の起源と形成

仏教とエクリチュール: 大乗経典の起源と形成

  • 作者:下田 正弘
  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: 単行本
 

 

 私が読んでるのは中期大乗経典なので、大乗仏教の起源問題とは直接的には関係しませんが、その担い手、経典を作成していった人がどういう人々だったのかという意味では何らかの示唆を得られるのでは…と思ってます。

再出発~再入学へ

私が所属していた大学院の規定では、単位取得満期退学後3年以内に博論を提出できない場合は、(課程の4年目に)再入学できることになってます*1。私は来年度がその満退後の3年目になり、博論を提出するか、改めて再来年度に再入学を目指すか、という選択をすることになります*2

 

2020年度に博論提出は無理ですので(笑)、2021年度から再入学するのが最も現実的な選択となりそう。そこから3年、ちょうど私の先生があと4年で退官ということなので、何とかその期間内に博論を提出しなければ…という状況になりました。とりあえず、その間に論文を1、2本出して、それで博論執筆するつもりです。途中、休学を3年取りましたから、可能な限りの最長期間、在籍することになりそうです(^^;

 

我ながらよくやるよ…と思いますが(笑)。

 

そういう気持ちになったのは、前にも触れたこちらの本を読んだのが大きいと思ってます。

在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活

在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活

  • 作者:荒木 優太
  • 発売日: 2019/09/06
  • メディア: 単行本
 

 

本書を読んで、あきらめるのはまだ早いな、という結論に至りました。各執筆者がそれぞれの研究内容を熱く語り、知的欲求を満たすために、生活上の困難もいとわずに研究生活を楽しまれているのがよく分かり、大変刺激を受けました。本書によって、すっかり「在野研究者」という地位が確立されましたね。私が仕事をしながら、通信の大学の門を叩いた15年前と比べると隔世の感があります。

 

私の場合、平日一日に家で勉強できる時間としては、トータルでせいぜい1時間~1時間半くらいがいいところ。それに通勤電車内の時間が往復で1時間ちょっとあるので、その時間を当てようと思えば当てられる。ま、寝てることも多いんですが(笑)。

 

あとは細切れ時間を合計すると一日当たり、1時間くらいにはなるんじゃないかというのもあるので、そういうのもいれて、何とか一日3時間は捻出してみようと思うようになりました。細切れ時間で、論文は書けませんが(笑)、語学を勉強するのにはいいかも。何とかやりくりして、救済措置として与えられた4年間を活かしていきたいと思ってます。

*1:博士課程には6年間在籍できます

*2:論文博士というのもありますが、文系の場合は、すでに著書を出していて学会でも著名な方が取る雰囲気がありますので、私の場合は再入学しかなさそうです(^^;

2月の読書

世界哲学史シリーズ、楽しみにしています。2巻目まで読みました。

 

www.chikumashobo.co.jp

 

1巻目。個人的には、やはり『ミリンダ王の問い』ですね。ギリシア王メナンドロスと仏教僧ナーガセーナ長老の問答。現存しているのは仏教経典としてのテキストで、その関係でメナンドロス王は仏教に感服して帰依したことになってます。しかし、原典はギリシア人がギリシア語で書いたと言われており、だとしたら、内容的にどうなっていたのか⁈気になるところではありますね。

 

世界哲学とか比較思想って、あまりに壮大すぎて、それぞれの分野の研究者からの評判ってあんまりよろしくないというのが一般的だと思いますが、そういう中でこうした試みを新書で出すあたり、すごいことだと思いますし、今後もこうした動きが活発になってほしいと思ってます。個人的にはこういうのは興味を持ってるんで。

 

furuhon-ya.hatenablog.jp

furuhon-ya.hatenablog.jp

 

 

 

2月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1085
ナイス数:1

世界哲学史1 (ちくま新書)世界哲学史1 (ちくま新書)感想
ヤスパースの枢軸時代、それぞれの地域で共時的に哲学的な営為が起こったというのは非常に興味深いところ。本書は、そのヤスパースも構想していた「世界哲学」という壮大な構想を、各地域ごとにそれぞれの専門家が概説するというもので、第1巻の本書は人間の生命原理としての「魂」について各地域ごとに解説されているように思われる。それにしても、ギリシアとインドが出会ったという『ミリンダ王の問い』、原典はギリシア語だったらしいというのが非常に興味深いところ。
読了日:02月25日 著者: 
ミリンダ王―仏教に帰依したギリシャ人 (Century Books―人と思想)ミリンダ王―仏教に帰依したギリシャ人 (Century Books―人と思想)感想
ギリシア哲学VSインド仏教という、注目の東西両思想の対決を今に伝える『ミリンダ王の問い』。テキストとしては、漢訳『那千比丘経』とパーリ語ミリンダ・パンハ』の二つが現代に伝わっているが、その原典は仏教に帰依したとされるギリシア人の間で、ギリシア語で書かれていたという。無我論と業果の主体、または輪廻の主体という問題について、両者の問答が展開されるが、両者の間で本当に議論はかみ合ったのか?問答は何語で行っていたのか?いろいろ興味深い点が多いと思う。
読了日:02月25日 著者:森 祖道,浪花 宣明
哲学初歩 (岩波現代文庫)哲学初歩 (岩波現代文庫)感想
どうしたら”よい”生活ができるか?それは富や権力、名誉…など、”よい”とされるものを所有することではなく、それらを(智によって)いかに活かし、正しく用いるかである。そうした智を愛し求めるのが哲学の原点だというのを教えられた。名著でしょう。
読了日:02月26日 著者:田中 美知太郎
時間がない人が学び続けるための知的インプット術 (ディスカヴァー携書)時間がない人が学び続けるための知的インプット術 (ディスカヴァー携書)感想
5分でも10分でも何もしない無駄な時間を作らないという隙間時間の勉強法とその活用の仕方というのは参考になった。まさに塵も積もれば山となるという時間の作り方は在野研究者にとっては非常に有益だ。本書の中で触れられている先人たちの勉強時間の確保の方法、たとえば宴会スルーの仕方とかも興味深かった。
読了日:02月29日 著者:三輪 裕範

読書メーター

研究の進展⁉

私が読んでいた貝葉写本ですが、途中から別の経典に入れ替わっていて、それが何の経典か分からず、考えながら、ずっと調べていました。大乗経典だというのは分かるんで、何だろうと思って…。

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画像の一番上一行目からですが、evam mayā śrutam ekasmin samaye bhagavān rājagṛhe viharatiという仏典の導入句から始まります。

 

先日、その当該経典が何か分かり、おぉー!これは新しい発見だ!と一人舞い上がっていたのですが(笑)、後になってその写本のデータベースのタイトル名をよく見ると、その名が付されているではありませんか!

 

なんだよ…(笑)今までの苦労は何だったんだ…(苦笑)

 

ま、ともかく、その経典が何かはっきりとして、スッキリしました。今後はその経典との関係について調べたら、何か新たな発見や展望があるかもしれないわけですし、一応進展したと考えることにします!

 

 

それはそうと、最近、個人的に気になっていた注目の本が出て、早速購入して読んでます。

世界哲学史1 (ちくま新書)

世界哲学史1 (ちくま新書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2020/01/07
  • メディア: 新書
 

 

世界哲学史2 (ちくま新書)

世界哲学史2 (ちくま新書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2020/02/06
  • メディア: 新書
 

 

凄い企画ですね。

写本の調査

私の読んでるテクストは、写本が多くあります。唯一の校訂テキストが参照していないものも多い上に、その校訂テキストも厳密に各写本の異同について記していないため、いちいち各写本を見る必要があります。

 

東大にあるものだけでも13種あり、それ以外にもイギリスやドイツにもまだあります。

 

東大のは一つだけ貝葉写本があって、それが一番古い時代のものです。

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あとは皆近代のもの。字体も違いますね。

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この辺は現代の字体に近くなりますが、貝葉写本は読むのに時間がかかりました。 

 

最近は各写本についてその概要をまとめて、一年の終わりの研究報告書として準備しておりました。

 

サンスクリットだけでも辛いですが、チベットの註釈書か見ると、目が疲れてきますね。老眼には辛いです(笑)。

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