古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

大晦日

店は29日までで、昨日はやり残したことがあってちょっと本郷に寄ってから、銀座のデパート展の後片付けを手伝いに。今日から完全にお休みです。今回は5日まで休みなんで、ゆっくり休みつつ、その間に最後のレポートの仕上げを…目論んでおります。今年でようやくレポートが終わりつつあります。やっとレポートから開放されるのか、と思いますと感慨もひとしおです。ずいぶんと時間を取られましたが、私にとっては、なんだかんだいってレポートは苦難の連続でした。が、反面、得るものは大きかったと思います。インド仏教3つ(初期、中観、唯識)、チベット1つ、中央アジア写本関係2つ、仏教文化2つ、宗教哲学1つ、合計9科目をやり通してみて思ったのは、ともすれば、自分の専門だけに没頭しがちなところを、視野を広げて資料に即して自分で考えるという基本的なことを身につけることができたのかな、と思います。


そして、来年はいよいよ修士論文です。早くも頭の中はそっちの方へシフトしつつありますが、初めに科目最終試験を片付けなければなりません…。


今日は外出したついでに、暇な正月に読もうと、出たばかりの新書を二つ購入する。

聖なる幻獣 (集英社新書ヴィジュアル版)

聖なる幻獣 (集英社新書ヴィジュアル版)

仏教にも登場するマカラ(参照)とかキールティムカなどの、神話上の幻獣についての新書。マカラといえば、サンスクリットではクムビーラ(kumbhīra)で金比羅の語源にもなっているもので、名古屋城の鯱もマカラの影響があるそうです。口はワニで、胴体は鯨、尾は魚の海獣ですが、その口から蛇や神々などを生み出す創造神の側面も持つんだとか。ネパールとかでは泉の蛇口がマカラの口になっていて、そこから水が出てくるものがあるそうですが、水道の「蛇口」をそう表現するのもそういうところに起源があるのかもしれませんね!?


折口信夫 霊性の思索者 (平凡社新書)

折口信夫 霊性の思索者 (平凡社新書)


こちらは折口の伝記研究に大きな書き換えを迫った富岡多恵子氏、安藤礼二氏の研究をふまえた上での、折口学についての入門書。


何はともあれ、本年もここをお読みいただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。