古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

面接指導

f:id:furuhon-ya:20100612123320j:image:right:w170週末は修論の面接指導をしていただくために久しぶりに京都の本学へ。去年来た時もそうでしたが、仮校舎が建っている風景に、まだ慣れていない感じです。京都はさすがに暑いなと思いましたが、全国的に暑かったそうですね。


今回は、梵文の和訳を見ていただくということで、お願いいたしました。以前にも書きましたが、『楞伽経』の和訳*1というのは、よく分からないところがありまして…。つまり、梵文を普通に読むと、そうはならないだろうという訳になっているのですが、それはどうやらチベット訳をもとに和訳しているからなんですね。チベット訳というのは、チベット人が勝手に訳したというのではなく、インドの僧侶の下、伝統的な仏教解釈によって訳されたので、そういう意味で尊重されるべきものなんでしょうが、それならそうと梵文と蔵訳を対照にするなり、何らかの註をつけてくれてれば混乱せずに済むと思うんですが…(苦笑)。


しかし、今回南条校訂本の純粋な和訳が出ているという有益な情報を先生に教えていただく。ただ、それは私家本で、一般的には流通していないもの。初めて見せていただきましたが、そういうのがあったんですねぇ…。花園大学の研究報告にも同じ方の和訳と研究が載っているようです(参照)。ざっと見た限り、梵文の和訳に際しては大変参考になるもので、今回、その一部分をコピーさせてもらいましたので、助かりました。図書館にあるようですが、貸し出し禁止のようで、他の部分はまた本学に行った時にコピーをするか、本自体を古書市場で探すしかなさそうですねぇ…。そういう研究紀要とかが大量に出る市会がありますが、そういう紀要類は大抵の場合、一口が大量の山で出品されますので、仮にその中に目当ての“2冊”を見つけたとしても、それ以外の大量の付随品をかかえこむことになるわけですが…。


ともかく、7月の中間発表と、草稿提出に向けて一歩前進といったところでしょうか。

*1:安井広済訳『梵文和訳 入楞伽経』法蔵館 昭51