今回は、お薦めの本をご紹介。といっても、日本語の新刊などではなく、梵語の本なんですが…^^;
Gajin,Nagao : Madhyāntavibhāga-bhāṣya, A Buddhist Philosophical Treatise edited for the First Time from a Sanskrit Manuscript. Tokyo, Suzuki Research Foundation 1964
長尾雅人先生による『中辺分別論』とその世親釈です。この本のいいところは、本の半分強を占める索引部分で、梵−蔵−漢、蔵−梵、漢−梵の三種が掲載されてるところです。私の場合、サンスクリット、チベット語とそれぞれ基礎コースを学びましたが、梵文原典とそれに対する蔵訳を読むというのは、修論でぶっつけ本番のような形になってしまいました。そこで思ったのは、まず最初に、チベット語による基本用語(私の場合は特に唯識関係)を憶えてしまうのが手っ取り早いということでした。この本は『中辺分別論』という論書ですから、唯識関係の用語はもちろん、それ以外にも結構載っていて、便利です。つまり、梵文の原典としてだけでなく、語彙集としても使えるというわけなんです。ただ、なかなか入手は困難でして、仏教系の大学図書館には大抵あるのですが、一般の公立図書館は大体所蔵していませんし、また古本としてもあんまり見かけないものです。私はコピーして持っていますが、もし、図書館等で閲覧することができれば、是非ともコピーをとることをお薦めいたします。