古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

Sein und Zeit !

存在と時間〈1〉 (中公クラシックス)最近、こちらを読んでます。『存在と時間』といえば、記憶は殆どありませんが、10年以上前にちくま学芸文庫(細谷訳)を読んだことがあります。最近は入門書もかなり出てますし、そういうのを読んだ後だったからかもしれませんが、以前に比べ、何かすごく読みやすい印象を受けました。木田元氏ではないですが、私もこの本はきちんと読んでみたいと思っているのですが、プラトンアリストテレス以降の西洋哲学の捉えなおし的なところもあって、なかなか一見さんには厳しいところがあります。ただ、内容的にはかなり気になる本です。


先日、倉庫を整理してましたら、"Sein und Zeit"第4版(1935年刊)の日本版(Japanausgabe)というのが出てきました。まだ、表紙に“Erste Hälfte”という文字がある版です。この本の刊期の部分には特に発行年、出版社は明記されてませんが、1943年に本郷の(今は亡き)福本書院から第4版の復刻版が出たことがあったそうなんで、多分それかと思われます。洋書がまだ貴重だった時代、当時の物価からすると、非常に高価なものだったことが窺えますが、どれくらい流通していたのでしょう?古本としては、たまに見かけます。ま、珍しいといえば、珍しいですね。もともと、印刷事情が良くない時代のものですので、ボロボロな感じなのが多いです(苦笑)。この本には、熱心な、鉛筆の書込みとアンダーラインが入ってまして、よく読まれたんだなぁというのが伝わってくるシロモノです。

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