古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

インド本あれこれ

例年通りではありますが、今年も5月は色々忙しく、なかなか更新ができませんでした。6月に入り、一息ついて、印仏学会の案内も送られてきたところです。今回はちょっと間に合わず、発表はしませんが、いろいろと興味がある発表もあるので、拝聴しに行ってまいります。スティラマティについてのパネル発表も興味深いです。


f:id:furuhon-ya:20140606082630j:plain:right:w280更新が滞っている間に、こちらの本がインドから送られてきました。発注を出してから、3か月程かかりましたが、何とか入手できてほっとしております。実はこれ、ネット上に公開されてはいるのですが、インド本収集家(笑)としてははずせないところ。いまだに書籍の販売という点ではまだまだ“神秘の国”インド(笑)。注文を出して、3か月かかっても来ればいい方(笑)。ひどいところですと、注文を出しても送ってこない(苦笑)。日本人は結構インドの本を頼んでる方だと思うのですが、何とかならないもんでしょうか…。


まあこれでもひと頃に比べたらマシになってきてるのかもしれません。新本なのにボロボロとか(笑)、製本もユルユルとか、そういうのはなくなってきました。あの匂いは相変わらずですが…。インド本は、古本を扱う者としてはヤッカイなものがあります。今では手に入らないだろうと思って、少し高めに値をつけても、どこかで(勝手に)リプリントが出ていたり…(笑)。まぁ、うちあたりでは、その辺の安心感を価格に込めるというのもアリなのかなと勝手に思っていたりするのですが。なんてったって、確実にお送りしますし(当たり前ですが)、最短では翌日にはお手元に届きますので(笑)。

そもそも、本に対する感覚がインドって我々と違うんじゃないのかって思うことがよくあります。例えば、再版するにあたって、わざわざ版を組み直し、それによってかえって誤植が増えて使い物にならなくなるとか、それってどういうことよ(笑)とツッコミを入れたくなることもよくあります。


f:id:furuhon-ya:20140607052249j:plain:right:w250インド本ついでに、もうひとつ。今、スリランカ大乗仏教について、調べてるのですが、必読文献としては“Mahayana Monuments in Ceylon”という、135ページほどの薄いペーパーバックがあります。1967年に出たのですが、その後再版されておらず、見かけることもほとんどありません。日本の図書館では東大と他1件くらいなんで、珍しいことは珍しいのでしょう。インドで出てないかなぁと探していたのですが、見つからず、結局アメリカの古本屋に頼んでしまいました。Scarece!っていうだけあって、送料込みで6,000円弱。

スリランカ大乗仏教については、以前上野のスリランカ展で黄金版の貝葉・二万五千頌般若の断簡を見て以来、興味を持ってましたが、個人的に、サンガミトラという人物に興味を持ってます。スリランカでの活躍が時代的に無著や世親と重なり、瑜伽行派の教えに深く影響を受け、しかも悪霊払いの祈祷と魔術的な修行にも通暁していたという人物。これからいろいろと調べてみたいと思います。それについてはいずれまた。