こちらに所収されている「大乗仏教の成立」では、下田先生が大乗経典の起源について書かれてます。
大乗仏教の起源については、いまだ定説がなく、学会でも議論が盛り上がってます。これまでの説では、大乗経典に相応した教団があったのだろうという(暗黙の)前提があったのですが、どうもそうではないんじゃないかという見方が近年の主流です。
大乗経典の方が先に成立していて(古いもので紀元前後)、それに相応した教団というのは、後代(5、6世紀)になってようやく成立したといわれてます。それについては、書写経典というのがキーポイントで、知の伝承媒体が声から文字へと転換することで、仏教の知識のありようが劇的に変化し、そこに大乗仏教の起源も関係してくるのではないかということなんです。
その辺は、こちらに詳しいということなので、読んでみたいです。
下田先生の注目の近刊はこちら。
私が読んでるのは中期大乗経典なので、大乗仏教の起源問題とは直接的には関係しませんが、その担い手、経典を作成していった人がどういう人々だったのかという意味では何らかの示唆を得られるのでは…と思ってます。