古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

写本の系統

5月の連休以来ですね(^^;

 

その間に、こちらの本を購入して読みました。薄い本ですが、結構高かった…(^^;

Textual Criticism and Editorial Technique (Teubner Studienbuecher Philologie)

Textual Criticism and Editorial Technique (Teubner Studienbuecher Philologie)

 

校訂作業の基本文献。前半に基本的なレクチャーがあって、後半は実際のテキストが挙げられています。例文がすべてギリシア・ラテンなので、よく分からない面も多かったんですが、基本的な考え方や知識はとりあえず分かったような気がします。

 

私が読んでいるテキストは、唯一の校訂本が1923年に出た後に、新出の写本が多数あることがわかったのですが、それらの新出の写本をも参照した校訂テキストというのは、部分的にしか出されてません。その研究で参照されている新出の写本は7種ですが、それ以外にもまだまだあるようです。

 

ともかく、その研究によれば、写本はすべてネパール系で、年代的にも近代になってからのものがほとんど。そのため写本の系統(recension)の相違というのはほとんど考えられないのですが、その中でも4つのグループに分かれるのではないかとされています。

 

それを踏まえて、私が読んでいる部分からもその4つのグループ分けというのは妥当なのか?という問題意識をもって、現在テキストを読んでいるんですが、注目点としては、誤記になりましょうか。同じ誤記をしているものは、とりあえず同じグループと考えます。しかし、その一方で、そうした誤記を誤記のまま写さずに、訂正しているということももちろん考えられるわけです。あるいは、訂正する際に、他の写本を参照しているということも当然考えられるわけで、そういうのを考慮すると、この作業、そんなに単純なものではないという気がしてきたところです^_^

f:id:furuhon-ya:20200809130234j:image

f:id:furuhon-ya:20200809130328j:image