古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

近代のサンスクリット受容史

先日購入した本です。西村先生の以下2点。

こちらは新版(増補)が出たので、改めて買ってしまいました。

 

ついでに、我が国においてサンスクリットの教科書としては最初期のもので*1明治41年に出たこちらも買ってしまいました!

f:id:furuhon-ya:20220219185011j:image

内容はこちらから見れます。シュテンツラーの"Elementarbuch der Sanskrit-Sprache"を翻訳したものです。シュテンツラーのその本は、ドイツ語圏において150年以上にもわたって、初級サンスクリット文法の教科書として用いられた定評あるもので、それを我国でも取り入れたというわけですね。

 

この本の7年後の大正5年には、これを改訂する形で、あの『実習梵語学』が出るわけです。この本は、以後昭和の晩年まで30版以上も版を重ね、平成には吹田先生による新訂版*2も出て、我国におけるサンスクリットの教科書としては最も普及した本になります。新訂版によってよみがえり、今後もまた版を重ねていくとと思います。

 

ちなみにこちらは大正5年刊(丙午出版社)の初版本です!年代を感じさせますね。

f:id:furuhon-ya:20220220201145j:image

こちらもデジタル・ライブラリーで公開されてます。昭和に入ってからは丙午出版社から明治書院に版元が変わり、別冊として字書が附録として付くようになります。あるいは、この初版から別冊が付いていたのか定かではありませんが、私が持っている初版本には付いておりません。

*1:榊亮三郎『解説梵語学』明治40年刊が近代においては最初の文法書になるかと思います

*2:

実習サンスクリット文法