そういえば、某所で某先生が入門書としてかなりお薦めしてたなぁと思い、なかをパラパラと…。この本は、法相宗大本山・興福寺のご住職であられる多川氏によるもの故に、伝統的な法相教学の用語が出てくるのが特色ですね。
『成唯識論』を読もうという向きには、そのとっかかりになると思います。
法相教学ということでいえば、やはり、こちらを忘れてはなりません。
横山先生のは、他にもいろいろあるのですが、よりコンパクトな『唯識思想入門 (レグルス文庫 66)』もいいかもしれません。個人的には、前にも書きましたが『唯識の哲学 (サーラ叢書 23)』が一番お薦めかと思いますが。
私が一番お薦めしたいのは、高崎先生によるこちら(asin:4393135229)。
この本は、『中辺分別論』をもとに解説されているのが特色。例えば、“虚妄分別”とは何か、とか分かりやすく解説されてます。
インドの唯識を勉強したい向きにはお薦めだと思います。
インドの唯識ということであれば、兵藤先生によるこちらもお薦め。これは『唯識二十論』をもとに解説しているのが特色。
『唯識二十論』といえば、唯識の用語を用いずに、異なる立場(外界実在論者)からの論難に応えることを目的として、「唯識ということ」を理論的に証明しようとした論書ですので、その解説となれば、唯識入門書には、ある意味、最適な気もいたします。
ともかく、一口に“唯識”といっても、いろいろあります…。これ以外にも、竹村先生のもありますし、太田先生は『仏教の深層心理―迷いより悟りへ・唯識への招待 (有斐閣選書 (875))』があります。
大体、何らかの原典をもとに解説されていますので、その原典の性格によってそれぞれ内容も異なってくるようですが、ここに挙げた5点が入門書としては個人的ベスト5という感じではあります。