古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

2011-01-01から1年間の記事一覧

来年は・・・

前から気になってはいたのですが、関口存男に関する検索でこのブログへいらっしゃる方が多いようです。関口存男については、以前こんなことを書いたからなんでしょうが、つい先日もこちらのブログを読んで強く思うところがありました。来年の抱負はこれだ、…

一年の回顧

今週は風邪をひいてしまい、辛い一週間となりましたが、そうしてる間にも今年もあと1週間となってしまいました。今年は歴史に残る大災害があって忘れられない一年となりましたが、個人的にもいろいろ大変な一年でした。30代後半にもなりますと、いろいろな難…

経典が教団を作った!?

早速こちらを購入して読んでみました。大乗仏教の誕生 (シリーズ大乗仏教)作者: 高崎直道,桂紹隆,下田正弘,末木文美士,斎藤明出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2011/12メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (3件) を見る特に、下田先生の「経…

『肉食妻帯考』

こちらの本、半分くらい読みました。“肉食妻帯”については、とりわけ親鸞とセットになって日本仏教の紋切り型概念として定着していますが、そう簡単な話でもないようです。もともと、日本では米だけでなく肉も食べてたようですが、仏教が伝来して殺生・肉食…

その後の壺月全集

前にこちらに書いた壺月全集ですが、あの後すぐに製本屋さんに出して再製本してもらいまして、昨日出来上がりました。1冊だけ背表紙のみ残そうかと思ったのですが、そうすると見返しを切らないといけません。この時代、見返しに特徴がある本が多いので、それ…

光炎菩薩大獅子吼経

知人に聞いたのですが、来年2月公開予定の映画で、“ニーチェの馬”というのがあるそうです。原題は“トリノの馬”ですが、ニーチェが晩年イタリアのトリノを訪れて、通りで馬が御者にひどく鞭打たれているのを見かけてそれを止めに入り、その後発狂したというの…

Critical Edition

もう今年もあとひと月ちょっととなりました。今年度は、自分の今後の研究ということでいろいろ考えるところがありました。といいつつ、実質的にはあんまり進んでいないので、大きなことは言えないのですが…(汗)。私が扱う文献は、(あくまで個人的な印象で…

迷う…

今日は仕事が終わった後、疲れていたのですが、書店へ。買いたい本があったのですが、行ってみるといろいろと欲しい本が出てきてしまい迷ってしまった…。 こちらの本は早くも並んでいました。買わなければ…。大乗仏教の実践 (シリーズ大乗仏教)作者: 高崎直…

壺月全集

先週一週間は、殆ど店にいなかったので、それ以前に買っていた本が結構たまってます。今週はそれらの整理週間と決めました。 まずは洋書。洋書は西洋古典の口です。哲学の蔵書が大量に市場に出て、その中から、古典関係を少々入手しました。西洋古典といえば…

暗記主義!?

サンスクリットの活用語尾は暗記すべきか否か!?私にとって、習いだした当初は暗記なんてとてもできない!という感じでした。文法書をそばに置いておけば、それで十分だ、と。しかし、最近になって、その考えを改めるようになってきました。限られた時間の中…

エーコの論文作法

本棚を整理していたら、懐かしい本が出てきました。論文作法―調査・研究・執筆の技術と手順 (教養諸学シリーズ)作者: ウンベルトエーコ,谷口勇出版社/メーカー: 而立書房発売日: 1991/02メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 94回この商品を含むブログ (33件…

入門書各種

ちょっと前から、インド仏教の入門書をいろいろ読み漁ってます。歴史・思想の両方をコンパクトにまとめたものはないだろうか?そういう感じでいろいろ探しておりました。平川インド仏教史が定番なのは分かるのですが、2分冊で結構な分量なんで、持ち運びに不…

仏教、本当の教え

こちらを購入し、読んでおります。梵漢和対照・現代語訳の法華経、維摩経を出された植木氏による新作本。仏教、本当の教え - インド、中国、日本の理解と誤解 (中公新書)作者: 植木雅俊出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/10/22メディア: 新書購入: …

新刊情報

佛大・並川先生の新刊がもうすぐ出るようです。出版社の案内はこちら。インド仏教教団 正量部の研究作者: 並川孝儀出版社/メーカー: 大蔵出版発売日: 2011/11メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見る 未知なるインドの仏教教団・正…

ソグド人の仏教

出たばかりのこちらを購入。龍谷大学仏教学特別講座を元にしたシリーズもの。西域―流沙に響く仏教の調べ (龍谷大学仏教学叢書)作者: 能仁正顕出版社/メーカー: 自照社出版発売日: 2011/10メディア: 単行本 クリック: 27回この商品を含むブログ (2件) を見る…

ソクラテス・イエス・ブッダ

ご無沙汰です。相変らず、勉強はあまりできてない状況ですが、今年も残すところあと2ヶ月ほどになってしまいました。10月が終わると、もうあっという間という感じです。 更新が遅れてる間にあったニュースとしては、深浦正文の『唯識学研究』上・下2冊復刊…

東洋の合理思想

先日、こちらを古本で見つけました。綺麗な状態だったのですが、そうした状態のは結構珍しいと思います。 この本の著者は、仏教学者・末木文美士先生の父にして、我が国ヴィトゲンシュタイン研究の第一世代?であられる末木剛博氏。そうした西洋哲学畑(論理…

黄色信号!?

実は、ある事情により8月くらいからほとんど自分の研究はできてない状況が続いております。ネタというか、構想は固まりつつあるのですが、作業がまったく追い付いてない感じ。何と言っても、文献読んでなんぼの世界なんで、ある意味致命的(苦笑)。そんなわ…

邪馬台国はどこですか?

そんなに読んだわけではないんですが、ひそかなファンである鯨氏の自伝的私小説。何か、結構、自分とかぶる感じがして、思わず買ってしまいました。「小説家になる」という夢を追い掛け続け、仕事の合間、そして睡眠時間を削っての読書、アイデアノート作成…

釈尊生誕地に巡礼した人びと

こちらが出たようです。河口慧海への旅 釈迦生誕地に巡礼した人びと作者: 高山龍三出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2011/09/16メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (1件) を見る 河口慧海の生涯を丹念にたどり、その業績と後世に及ぼした…

日本で最も古く、もっとも成功したインド料理店

こちらが出るようです。銀座ナイルレストラン物語 日本で最も古く、最も成功したインド料理店 (P-Vine Books)作者: 水野仁輔,G・M・ナイル語り出版社/メーカー: ブルース・インターアクションズ発売日: 2011/09/23メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を…

十住毘婆沙論

すこし先の話ですが、こちらが出るようです。 龍樹の仏教: 十住毘婆沙論 (ちくま学芸文庫)作者: 細川巌出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/10/06メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (3件) を見る 十住毘婆沙論といえば、以前レ…

英語で読むインド仏教史

最近出た平川彰先生のインド仏教史 上〈新版〉はどうも単に新装版のようで、内容的には変わらないみたいですね。というわけで、買ってませんが、先日同じ本の英語版を入手する機会がありました。モチラル社から出てるもので、原著の上巻部分(龍樹以前まで)…

お墓、位牌

こちらの本、ざっとですが、読みました。主旨としては、位牌を含む葬送儀礼が2000年前の儒教に由来することを示し、また、儒教・道教・仏教の三者混合を検証するというもの。霊の依り代としての位牌は、祀られる存在であるけれども、やがては祀り捨てられ、…

100分de名著 ダンマパダ

NHKの100分de名著シリーズですが、9月は何とダンマパダのようです(参照)。講師は佐々木閑氏。そのためか、最終回にはブッダの教えを脳科学の面から検証するというのもあります。 『ブッダ 真理のことば』 2011年9月 (100分 de 名著)作者: 佐々木閑出…

アルダ・マーガディー語辞典

先日、洋書会で入手いたしました。名著普及会で出たものです。手元にある名著普及会の「図書目録」(1987年版)によれば、アルダ・マーガディー語の世界最大・最高の辞典だそうで、仏教学・印度学必備の書!となっています。1977年の出版ですが、当時で70,00…

梵漢和対照・現代語訳 維摩経

梵漢和対照・現代語訳 維摩経作者: 植木雅俊出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/08/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (1件) を見る 維摩経は,人間生活におけるとらわれを捨て,世俗の生活(在家)のなかに仏教の理想を…

おそるべき、くろきもの

こちら買って少し読んでみました。冒頭「序」の部分で、ブッダの漢訳語について少し触れられてます。 ブッダのことを表す漢訳語を見ると、どうもあまり敬意の感じられない意味の漢字が使われてるようだとこの著者は言います。まず、「佛」ですが、これは人で…

仏教漢語50話

こちらが発売されたようです。仏教漢語50話 (岩波新書)作者: 興膳宏出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/08/20メディア: 新書 クリック: 14回この商品を含むブログ (6件) を見る 仏教が中国に伝わったのは、西暦1世紀の後半。それは中国人にとって、宗教…

葬式仏教の凄さ

こちらを早速読んでみました。内容的には、(同じ著者の)他の著作とあんまり変わらないような感じですが、お手軽な新書サイズということで、電車内読書用に購入。 この本によれば、葬儀というのは、鎌倉新仏教の担い手である遁世僧によって始められたことに…