古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

2012-01-01から1年間の記事一覧

営業努力!

今年もいよいよ大詰めですが、先日ふらっといらしたお客様に「いかに生きるか?」そういう問いに答えてくれるような哲学の入門書はありませんか?といきなり尋ねられました!古本屋をやってますと、いろんなこと尋ねられますが、こういう風に単刀直入にズバ…

龍樹文献群

ご無沙汰しております。9月から11月にかけて、いろいろありまして、なかなか更新できませんでした。そうこうしてるうちに、今年も残すところあと2週間余りとなってしまいましたが、最近はやっと、日々少しだけですが、勉強時間を確保して、何とかパートタイ…

アジアの光

ちょっと前になりますが、エドウィン・アーノルドという英国詩人の“The Light of Asia”という本が入荷しました。初版は1879年にロンドンで出たものですが、これは1932年にアメリカで出た版です。W.ポガニーという、古書業界でも有名な挿絵画家による表紙、挿…

中华大藏经

先日の本郷通信にも書いたのですが、以前古書市場に『中华大藏经』(蔵文)のテンギュルの方、1-63巻(うち3冊欠)が出ていました。全124冊の約半分のみ、しかも間が抜けているという、(いかにも)売るのに難儀しそうなセットでしたが、落手いたしました。 …

近況―停滞期を終えて

しばらくぶりです。9月、10月と、いろいろありまして、殆ど勉強できませんでした。そういう状態が続くと、集中力というかモチベーションも下がり、木田先生の本やハイデッガー関係を読んだり、現実逃避してしまったのですが…。そうしてるうちに、気付くとも…

「有」か「存在」か

文庫化されたこちらを買って読みました。最近はあまり読んでなかった木田先生の本、ハイデッガー講義録の“拾い読み”とくれば、読まなきゃ!と思い購入。ハイデガー拾い読み (新潮文庫)作者: 木田元出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/08/27メディア: 文庫 …

豪華本の行方

古本の世界には、いろいろと豪華本というのがあります。この本も、誰がなんといおうが、間違いなく豪華本でしょう! 1冊1冊がずしりと重い背革装! しかも天金! このような、内容を兼ね備えた豪華本も、かなり安くしないと売れなくなってしまいました。とい…

魔力!?

先日、再び京都の本学へ面談授業に行ってまいりました。午前、午後の2コマ、梵文読解です。いつも言われるのは、主語と述語を明確にしろ、名詞と形容詞をはっきり区別しろ…という日本語として至極当然のことなんですが、どういうわけか、そんな当然のことが…

唯識・瑜伽行派の最新の研究成果

最近出たこちらを早速買いました。個人的には、このシリーズの中では一番待ち望んでいたものでしたので、早速読み始める。唯識と瑜伽行 (シリーズ大乗仏教)作者: 高崎直道,桂紹?出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2012/08/24メディア: 単行本この商品を含むブ…

売れるまでの間・・・

最近、インド中観派~チベット密教関連の仏教書が入荷しまして、その中にこちらの本が入ってました。稲葉正就著『チベット語古典文法学』の増補版です。元版は、昭和29年初版で、昭41年に改訂版が出てます。それを大幅に増補したもので、元版の頁数が249頁な…

増谷文雄 阿含経典

ついに、ちくま学芸文庫より増谷文雄・阿含経典が復刊されました。1冊、なんと1,890円!阿含経典1 存在の法則(縁起)に関する経典群 人間の分析(五蘊)に関する経典群 (ちくま学芸文庫)作者: 増谷文雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/08/08メディア: 文…

買い換え

実は、来週引越しをすることになりまして、ちょっと前から自分の蔵書を整理してて、不要なものは売ってしまいました。といって、自分の店で売ってるんですが…(笑)。さすがに、同業他店に「売りたいんですけど…」って持っていけませんよね(笑)。その処分…

ジャケ買い!

元版の中公叢書を持ってますけど、新しく出た文庫、そのカバーの写真に惹かれて買ってしまいました。この写真は中公叢書版にはなく、初めて見るものなんで。物語「京都学派」 - 日本の知性を代表する哲学者たち (中公文庫)作者: 竹田篤司出版社/メーカー: 中…

英訳求む!

先日、ベートリンク・ロートの梵語大辞典7冊、簡約版3冊、補遺1冊、ともに名著普及会版が入荷しました。中には、初めて見る、出版社のパンフがあって、思わず読んでしまいました。辻直四郎、金倉円照、中村元、原実…といった著名な先生方による推薦文が載っ…

中間発表会

先週の土曜日、今年度第1回目の中間発表会が終わりました。当日は6時過ぎののぞみで東京を出発し、9時20分頃大学へ。発表会の後は、大学から歩いて5分程のしょうざんリゾートの中にあるレストランで懇親会でした。私はその日のうちに帰京しなければならなか…

誘惑に負けて…

先日、こちらの本を入手しました。聖入楞伽経註 (チベット仏典研究叢書 (第4輯))作者: ヂニャーナシュリーバドラ,羽田野伯猷出版社/メーカー: 法蔵館発売日: 1993/12メディア: 大型本この商品を含むブログを見る 前から欲しいとは思ってたんですが、なかなか…

勉め強いること

30日の初日だけですが、鶴見大学で開催された印仏学会行ってまいりました。初めての参加でしたので、どんな雰囲気なのか知りたいと興味本位で行ってしまいました(笑)。かなり人が多くて何か圧倒されてきました。佐々木先生と下田先生のなんて、大教室が超…

荻原雲来と渡辺海旭

最近出たこちらの本、早速買ってみました。我が国の仏教学黎明期、多くの僧侶(参照)が海を渡り、イギリスやドイツで梵語や巴利語を習得し、仏教学の基礎を確立しますが、その中の荻原雲来と渡辺海旭という巨人に焦点を当てています。今でこそ、原始仏教、…

チベット語入力

チベット語を読んでますが、私が読んでる経典はネット上でローマ字文が公開されてますが、やはりローマ字では読みにくい…。そこで、それをチベット文字に変換! 大蔵経のはこんな感じで細かく、見難いのですが、 こんな風になります。 きれいだ(笑)!!

初回・面談を終えて

先日、博士課程になって初めての面談をしてまいりました。これからどのように進めていくか、その辺りの話もさせてもらい、また、事務局ではいろいろと、根堀葉堀、書類のこと、事務手続きのことを質問させてもらいました。 面談授業は、基本的に先生と差し向…

最上の入門書!?

先日ここでご紹介した「A Primer for Classical Literary Tibetan」ですが、読み進めるに連れ、愛用しています。なんといっても、この本のいいところは、巻末にAppendixとして「Summary of Particles」、つまり助辞のまとめがついていることです。たとえば、…

百花繚乱!?

予定より1~2ヶ月遅れですが、ようやくテキスト読みが当初予定していた部分、終わりそうです。本当は3月前に終わらせておきたかったのですが。私が読んでるのは梵語原典の他に蔵・漢訳をはじめ、和訳・独訳・仏訳・現代中国語訳…と百花繚乱でして、その分、…

山の中から見つけたものは・・・

今週の洋書会はたくさんの量でしたが、その中の一つに面白い出品がありました。初めは、西洋古典、ギリシア・ラテン語関係がメインかと思って、本を広げていったのですが、他にも社会経済関係、統計学、数学、哲学…など色々と出てきて、さらにアジア系言語の…

商売優先!?

今週の古書市場でこんなのを見つけました!CD-ROM全14枚シリーズのうち、1枚欠(Vol.1)なんですが…。こういうのって、大学の先生間では結構持っていらっしゃるのかとは思いますが、私を含めた一般人にはなかなか目にする機会がありませんね。ということで、…

A Primer for Classical Literary Tibetan

こちらを少しずつ読んでます。とりあえず四割ほど読みましたが、私が以前勉強した本と比べると説明がかなり親切丁寧で、分かりやすいと思います。私が買ったのは第2版ですが、解答付の練習問題が結構あって、例文はどれも仏教文献からのものです。私が思うに…

いよいよ、スタート

桜も見頃を迎える中、入学式、そしてオリエンテーションへ行ってきました。毎年のノルマとしては、指導教員とのマンツーマンの面接指導が120分×3コマ、中間発表会への出席(2回)と発表(最低1回)、そして研究報告論文(400字詰原稿用紙で100枚程度)の提出…

本のご紹介

『世親唯識説の根本的研究』という本。こちらは、昭和12年に元版が出てますが、昭63年に付録を伴って、増補新版として出ています(「仏教人間学としての」という副題もついて)。飛鳥書院て、聞きなれない出版社だと思ったら、お寺さんのようですね。付録と…

鈴木大拙と楞伽経

楞伽経を読んでます。当初の予定より大幅に遅れてますが、何とか読んでます。楞伽経をやる上で避けて通れないのは鈴木大拙の研究です。下記の本はモチラル社のリプリントですが、私は1930年ロンドンで出版された初版(英訳版は1932年)も持ってます。たしか…

サンスクリット語 その形と心

以前購入したこちらを通勤電車内でしばらく読んでました。読むというよりは、ブツブツいいながら(笑)勉強していたという方が正確かもしれません。この本のいいところは、簡単な例文が豊富にあることで、それらを読んでいくことで、名詞や動詞の変化を理解…

達磨大師とダルマさん

先日、店の本の整理をしてて見つけた本。ちょっと読んでみただけで面白かったので、そのまま一気に読み通してしまいました。一方の達磨大師は言うまでもなく禅宗の開祖であり、宇宙の実相を観得したという深遠なる存在。それに対し、俗信としてのダルマさん…