山の中から見つけたものは・・・
今週の洋書会はたくさんの量でしたが、その中の一つに面白い出品がありました。初めは、西洋古典、ギリシア・ラテン語関係がメインかと思って、本を広げていったのですが、他にも社会経済関係、統計学、数学、哲学…など色々と出てきて、さらにアジア系言語の本も!?たくさん出てきました。3,4人がかりで仕分けていったのですが、この所蔵者は一体どういう方なんだ?と、それぞれが言い出しました。個人というより、どこかの研究機関なんでしょうが、あまりにヴァラエティーに富んだ内容に一同の注目を集めたというわけです。
そんな中から、アジア系とギリシア、ラテン関係を入手して、1点ずつ見ていきますと、いろいろと面白い本が出てきました。一つは、昭和40年に鈴木学術財団から出たターラナータのインド仏教史(蔵文)。こちらは、ドイツ人のAntonius Schiefnerという人がロシアで蒙古族のラマ教徒から譲り受けた蔵本がもとになっていて、元版は明治維新の年にロシア(サンクト・ペテルブルクの科学アカデミー)で出たものです。タイトル頁をご覧いただければおわかりの通り、ロシア語の対訳としてラテン語で記述されてますが、序文も全てラテン語。そのシーフナーという人は独訳もしてるのですが、邦訳は寺本婉雅によって出てますね。
このほか、サンスクリット、チベット、パーリはもちろん、グジャラート語、タミル語、カンナダ語、タタール語、モンゴル語、ヒンディー語、カンボジア語…と様々な言語の本がありましたが、その山の中からインド仏教史研究の出発点ともなった名著が出てきたのは収穫でした。ま、しかし、こうした山を買う、これは古本屋が市場へ行く醍醐味でもありますねぇ!