古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

2013-01-01から1年間の記事一覧

仏典はどう漢訳されたのか

気が付けば年末。例年12月は何かと忙しく、バタバタと年の瀬を迎えてしまいますが、デパート展をやめてからは年末年始はゆっくりと過ごせるようになりました。先日店に来店された、ある先生に「勉強進んでる?」と言われ、苦笑いをするのが精一杯でしたが(…

澄む月のひかりに

先日、たまたま入手しましたこちらの本。毎田周一の『澄む月のひかりに』ですが、読み始めてみると思わず引き込まれていってしまいました。調べてみますと、毎田周一は暁烏敏に師事し、京都大学哲学科で西田幾多郎の教えを受け、卒業後は金沢で教員を務めて…

Ślokas and vipulas

最近こちらの論文をようやく読み終わりました。はじめはちょっと取っつきにくく、細部でよく分からない部分も多く、読み通すのに時間がかかってしまいました。しかし、その内容については興味をそそられるものでした。経典は匿名の著者によって、いろいろと…

インド的?

最近こちらの本が出ました。中国唯識思想史研究-玄奘と唯識学派-作者: 吉村誠出版社/メーカー: 大蔵出版発売日: 2013/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見る“中国唯識思想史”いうタイトルでは、他になかなか類書を思いつきません。その意味で非常…

Sautrāntika

今、加藤純章先生の『経量部の研究』を読んでます。図書館から送ってもらったものです。古書はなかなか見ないもので、仮に出てきてもかなり高いので、手が出ません(苦笑)。私も何回か扱った覚えがありますが、こういうのは高くても確実に売れるものです(^^;…

忘れられた仏教哲学者

北山淳友という方をご存知でしょうか?ネットを検索しても、Wikipediaに記載もなく、現代では知る人ぞ知るという感じの、いわば忘れられた仏教哲学者です。1902年に静岡県内の浄土宗のお寺に生まれ、宗教大学(大正大学)で望月信亨、荻原雲来に学び、1924年…

The Foundation for Yoga Practitioners

注文を出していたこちらの本が到着。1万円弱の価格とそのボリュームに買うのを躊躇しましたが、松江に行くのに夜行バスを使って、資金を捻出しました(笑)。夜行バスに揺られていくと、この本が待っている。それじゃ、夜行バスにするに決まってるじゃありま…

松江を訪ねて

8/31(土)・9/1(日)と松江で開催された印仏(日本印度学仏教学会)にて発表をしてまいりました。今回が印仏発表デビューということで結構緊張しましたが、無事に終わり今ではほっとしています。松江くらいの規模の街ですと、どこに行っても業界関係者に遭…

中村先生と井筒先生

お久しぶりです。諸般の事情により、あんまり勉強出来てない状況がしばらく続いてます。やっぱり、勉強は若いうちにやるべきですねぇ。中途半端に歳取ってからやろうとしても、なかなか思うようにできないものです。今までは騙し騙しやってきましたが、こう…

大乗起信論と革命思想

先日、たまたまこちらの講座の資料を読ませていただく機会がありました。近代日本、東アジアにおいて『大乗起信論』がいかに受容されていったのかがよくわかるもので、非常に面白く読ませていただきました。特に、ナショナリズムの道具として使われ、中国や…

いくつか新刊書

更新をサボってた間に、いろいろと新刊書が出ています。智慧/世界/ことば: 大乗仏典I (シリーズ大乗仏教)作者: 高崎直道,下田正弘出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2013/05/17メディア: 単行本この商品を含むブログを見る このシリーズは出るたびに買ってます…

インド土着思想 vs. ギリシア哲学

5月はいろいろイベントが目白押しで、少し忙しくしておりました。やっと一息ついたところに、中間発表会の案内も来まして、勉強しなくてはまずいなぁというムードが高まってきた今日この頃です。休学中も来るんですねぇ。いっそのこと研究費補助も出していた…

Skt.動詞語根変化表

仏教研究者の方の蔵書が相次いで入荷しておりまして、連休明けにもまた入荷する予定です。先生方の蔵書を拝見するのは古本屋冥利に尽きるわけですが、その都度、発見や驚きがあります。こういうのがあったのか!思わず、口に出てしまいそうな時も…(^^;;さて…

電子化の波

前回のエントリで書きました文献案内ですが、三蔵の次はサンスクリットに関して書いてみました。サンスクリット関係は、すでにいろいろと有益なサイトがあり、文献案内も詳しく書かれております。それらの情報にほとんど付け加えることもありませんが、古本…

古本屋からの文献案内

店のHPにこういうのを作ってみました。まだちょっとしか出来てないんですが、これから随時更新していくつもりです。実は前から構想はあったのですが、ズルズルと後回しになっておりました。そんなところ、先日ある先生との雑談中に、古本屋こそがこういう文…

龍樹は三性説を知っていたのか?

以前注文してた本が到着しました。注文してたことを完全に忘れていた(^^;;Nagarjuniana: Studies in the Writings and Philosophy of Nagarjuna (Buddhist Tradition Series)作者: Chr Lindtner出版社/メーカー: Motilal Banarsidass Pub発売日: 1987/12メデ…

売りものではないんですが…

今年の3月は、例年以上に本の買取が多かったです。何か連日外を廻っていたという感覚。しかし、いろいろとお声をかけていただくのは非常にありがたいことで、仏教書はじめ良書が大量に入荷しております!!そのなかで、個人的に興味を惹いたのが、ある仏教研究…

ダイジェスト版

通勤電車内でこちらを読みました。実は某サイトのポイントが溜まっていたので、それで買わせてもらいました。本当の仏教を学ぶ一日講座 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか (NHK出版新書 399)作者: 佐々木閑出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2013/02/…

哲学の国籍

ちょっと前の話ですが、市場にいわゆる京都学派と呼ばれる人たちの著作、研究書が続いて出ました。西田、九鬼の著作集(旧版)はいつでもよく出ますが、それ以外ですと『善の研究』初版本(明44)!、西谷啓治著作集・全26巻!、燈影舎・京都哲学撰書…。西谷…

インド拳法

最近入荷した仏教書を整理してて、見つけた本。開いてみると、詳解なイラストが豊富にあって、非常に楽しめる本。思わず読んでしまいました。図説 インド神秘事典 (講談社SOPHIA BOOKS)作者: 伊藤武出版社/メーカー: 講談社発売日: 1999/11メディア: 単行本…

ブッダとは誰か

吹田先生の新刊ということで、早速購入して読みました。ブッダとは誰か作者: 吹田隆道出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2013/02/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る仏伝というのがいつ頃書かれ出して、それがどのように増殖していくのか、…

ガンダヴューハ

最近、華厳経について調べる必要を感じていて、いろいろと本を探してます。梵本は十地品、入法界品だけなんで、あとは漢訳とチベット訳ということになるんですが、全体的にざっと読む分には、やはり国訳の書き下し文がいいかな、と。ちょっと前に、「日本の…

唯識三年、倶舎八年

先日買ったこちらの本、早速読んでみましたが、一般向けの本ということで、非常に明快で、すっきりと読めました。印象に残るのは、仏教でいう業の理論と現代科学のカオス理論とがシンクロしているというところですね。意外と人類は古代からいわゆる複雑系と…

仏教は宇宙をどう見たか

出たばかりのこちら、早速購入!仏教は宇宙をどう見たか: アビダルマ仏教の科学的世界観 (DOJIN選書)作者: 佐々木閑出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2013/01/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る化学同人社という出版社から出てることか…

Sanskrit Syntax

先日twitterでも、ここでも紹介しましたこちら、早速購入しました!内容は、サンスクリットの構文、語法について、例文を挙げて解説するというSanskrit Syntax(統語論)です。記述の順序は、前著『新・サンスクリットの基礎』の順序に倣っているようです。…

2013年度の計画など

新年の初めということで、今年もどうぞよろしくお願いします!新年早々、昨日は京都の本学へ面談授業に行ってまいりました。今月末に研究報告書40000字分提出して、今年度は終わります。何とか出せそうです。来年度(2013年度)ですが、とりあえず4月から休…