龍樹は三性説を知っていたのか?
以前注文してた本が到着しました。注文してたことを完全に忘れていた(^^;;
Nagarjuniana: Studies in the Writings and Philosophy of Nagarjuna (Buddhist Tradition Series)
- 作者: Chr Lindtner
- 出版社/メーカー: Motilal Banarsidass Pub
- 発売日: 1987/12
- メディア: ハードカバー
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デンマークの仏教学者で、龍樹研究において大きな業績を残されたCh.リントナーという方の名著。そのインド・リプリント版。
この方の説で特徴的なのは、龍樹が三性説を知っていたというもの。その主張はネット上でも公開されてます(参照)。
“龍樹作”と言われている四讃歌に三性説らしきものが見られるからなんですが、仏教学者の多くはその説に懐疑的だろうと思われます。問題は、その“龍樹作”という伝承をどう受け取るかという点にもかかってくるのですが…。
しかし、それが龍樹作ではないにしろ、三性説がその辺の中観派の文献から生まれてきたといえるのか?あるいは、逆にそれは瑜伽行派からの影響を受けたものなのか?その辺について何とも言い切れないところがもどかしい…。三性説ついでにいいますと、近年その写本が発見され、研究され出した五百頌般若経(参照)というのもあります。これは、明らかに瑜伽行派によって作られたであろう般若経ですが、そこに三性説が説かれているのです。三性説としてはちょっと独特なその説が思想史上、どのように位置づけられるのか?今後の研究が俟たれます。というか、自分も勉強しなくては…(苦笑)。