仏典はどう漢訳されたのか
気が付けば年末。例年12月は何かと忙しく、バタバタと年の瀬を迎えてしまいますが、デパート展をやめてからは年末年始はゆっくりと過ごせるようになりました。先日店に来店された、ある先生に「勉強進んでる?」と言われ、苦笑いをするのが精一杯でしたが(笑)、これからは勉強しないと…。
というわけで!?、出たばかりのこちらの本を早速買いました。
- 作者: 船山徹
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/12/19
- メディア: 単行本
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仏典翻訳、漢訳についての概説書、それも翻訳学(トランスレーション・スタディーズ)という観点から見た仏典漢訳の意義を問うなど、注目すべき本です。翻訳工房ともいえる、実際の訳場は、どうなっていたのか?役割分担は?その辺から始まって、外国・翻訳僧の中国語能力はどうだったのか?鳩摩羅什や玄奘の翻訳論はどういうものだったのか?
まだ全部読んでませんが、とても興味深く読ませてもらってます。特に第三章「訳はこうして作られた」では、実際に梵語の音読から音写語へ、そしてそれを中国語に翻訳、語順の入れ替え、補足語の付けたし…という翻訳作業の実際の過程が般若心経の事例をもとに解説されているところなどは興味深いと思いました。その他、ヨーロッパの翻訳論と仏典翻訳との対比というのもあって、いろいろと知らなかったことも多く、お薦めです!
日々漢訳を眺めつつ、元の意味を考えておりますが、その簡潔な文章の背景にこういった奥深さがあると分かるとそれはそれでいろいろ考えさせられるものがありますね。