『場所と産霊』読了

場所と産霊 近代日本思想史すでに何度か触れてますこちらの本を読了。とにかく、面白かった。安藤氏は、この本の中で、日本近代思想史を、スウェデンボルクからアメリカに展開したユニテリアニズム(神人合一という神秘主義的一元思想)という側面から読み返す試みをなさっているのですが、それによって、鈴木大拙南方熊楠西田幾多郎柳田國男折口信夫…という、別個に展開したかのような思想家たちが、見事に結びついていきます。


大川周明ルドルフ・シュタイナー、あるいは鈴木大拙折口信夫、これらの組み合わせも意外と言えば意外ですが、哲学と民俗学、そして文学の背景に横たわる宗教的思惟が明らかになることで、納得がいきます。考えてみれば、大拙によって、スウェデンボルクとプラグマティズム哲学が日本に入り、逆に、大乗仏教が日本からアメリカへ渡り、東洋と西洋の出会いが用意されるわけで、そういう意味で、日本近代思想史における彼の存在、そして「霊性」というのは非常に大きな位置を占めているのかもしれませんね。それを言うと、その背景にあるエルンスト・マッハからポール・ケーラスへの、自我を粉砕させる感覚一元論の流れも忘れてはならないのですが…。あとは、臨済宗から神智学へと転身し、明治26年の世界宗教会議で雄弁をふるった平井金三、そして藤無染も忘れてはならない重要人物でしょう。


ともかく、近代日本の哲学者、民俗学者たちの意識下に流れる、科学とオカルトの統一を志す“神秘の薔薇”ともいうべき水脈を表面化させた本書は知的興奮をもって読まれること間違いないと思います。以下の本も、早速発注してしまいました!


光の曼陀羅 日本文学論

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近代論―危機の時代のアルシーヴ

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