古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

読んだ本 買った本

最近シルクロード関係のレポートをやってまして、それに伴って最近読んだもの。

楼蘭王国―ロプ・ノール湖畔の四千年 (中公新書)

楼蘭王国―ロプ・ノール湖畔の四千年 (中公新書)


さまよえる湖 (中公文庫BIBLIO)

さまよえる湖 (中公文庫BIBLIO)

中公新書の『楼蘭王国』は、特に後半の「ミイラが語る楼蘭前史」と「ガンダーラ語の文書を読む」という部分が面白かったです。トカラ語についても、私は知らなかったので面白く読ませていただきました。

楼蘭といえば、ミイラですが、そのミイラが何語を話していたのか?今から4千年前に楼蘭あたりに住み着いた人々(ミイラ)はどうやらトカラ語を話していたのではないか、ということらしいんですね。トカラ語というのは、印欧語族に属する言語で、一番東端に位置しているわけですが、どういうわけか西端のケルト語派やイタリック語派と著しく類似しているようです*1

そして、三世紀頃の楼蘭王国の公文書として現存しているガンダーラ語*2のカローシュティ文書には、、トカラ語の特徴をそのまま残したものも多く残ってるようで、中にはイラン語やギリシア語からの借用語も含まれてるみたいです。このあたりは、民族の移動や東西文化の遥かなる交流とも絡み、どこか壮大な話になるだけに興味はつきないところですね。

そういえば、大英図書館所藏のガンダーラ語の仏典・写本については、ワシントン大学のこちらに画像が載ってます。『犀角経(Khargavisana-sutra)』、『増一阿含(Ekottarikāgama)』、『法句経(Dharmapada)』、etc。


インドカレー伝

インドカレー伝


こちらは、「インド亜大陸の、あまりに広大で、あまりに複雑な社会を描こうと試みた」本だそうで、インド各地の料理の色々なバリエーションについても詳しく載ってるようだったので、思わず買ってしまう。この本を読めば、インド人とカレー談議できるかも(笑)。

*1:なぜ東西両端に位置している言語が類似したものかというのは、印欧祖語とも関連するみたいです。つまり、両極端に移動していった語族というのが、最初期に祖語を話していた祖先から分派していったのではないかということのようです。初めに分派したものほど、遠くへ行くというような!?

*2:一応ガンダーラ語は、中期インド語のプラークリット(俗語)に属するようで、文字は決まってカローシュティ文字のようです