GWにこちらの本を読みました。
インドで、ウッダーラカ・アールニによって、哲学的思考が始められたのが今から2,500年前。この世界のはじまりに何があったのか?それを根本的に成り立たせているものは?そして、その根源的一者と現実の多様な諸事物との関係はどうなっているのか?本書は、そうしたウッダーラカによって提起された問題を軸にして、後のインド哲学諸派がそれをいかに解釈し展開させていくのかをまとめています。その意味で、インド哲学史中のひとつの軸を取り出して、その視点から全体像を捉えられるので、良い見取り図となってくれる本だと思います。逆に言うと、その一つの問題圏の周りをインド人は長い間シツコク思考を重ねてきたわけですよね(^^)
あとは、著者の赤松先生も書かれてますが、視点をズラすということ。インド文献の場合、スートラ体という、スピノザのエチカやヴィトゲンシュタインの論考のような簡潔な定式の羅列があるだけです。その場合、意味の取り方だったり、結局、どういうことを言ってるのか、飲み込むのに時間がかかります。そこで、視点をズラして、別の視点から考えてみると理解がすっきりしますし、何よりインドというローカル性を超えた、もっと普遍的な哲学の道が拓けてくるんじゃないかと思います。本書でも、井筒俊彦、空海、道元からフレーゲまでと東西の哲学が援用されてますが、その辺が凄く分かりやすく思いました。
いやーしかし、最近は岩波文庫で山崎弁栄の本が出たり、ちょっと前にはシュタイナーの本も出ましたが、岩波新書でインド哲学史が出るっていうのも、なんかすごいことだなぁと実感してます。
こちらはもちろん買いました(^^) じっくり読みたいですね。