古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

縁起経

ちょっと前のニュースですが、12日の朝刊に載っていたものですので、すでに皆さんご存知だとは思いますが・・・。バーミヤン遺跡から「胎内経」の一部が発見されたというニュースです。佛大の松田先生が解読されたそうですね。


バーミヤン遺跡:大仏残がいから経文 玄奘訳「縁起経」の原典
アフガニスタン中部の世界遺産、バーミヤン遺跡で十一日までに、旧タリバン政権が破壊した東西二体の大仏立像のうち、東大仏の残骸(ざんがい)の中から六−七世紀の文字で書かれた「胎内経」とみられる経典の一部の経文が見つかった。専門家の解読から、七世紀にバーミヤンを訪れた中国の僧、玄奘三蔵が漢訳、日本にも伝わった「縁起経」の梵語(ぼんご)(サンスクリット)原典に相当するものと判明。建立時に大仏内部に納められた可能性が高く、謎に包まれた大仏建立の経緯解明にもつながる第一級の発見だ。

 経文は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の協力機関、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)のドイツ調査隊が発見。関係者を通じて仏教大の松田和信教授が解読した。仏像に納められた経文は日本などでも例があるが、アフガンで見つかったのは初めてという。経文の解析が進めば、バーミヤン研究の飛躍的な発展につながりそうだ。

 松田教授によると、経文は北インドからパキスタン、アフガンにまたがる地域で六−七世紀に使われた「ギルギット・バーミヤン第一型文字」で書かれていた。縁起経は、万物は永遠不滅ではないことを説く代表的な経典。仏教思想の根幹を表し、これを「縁起」という言葉で表現する。

 経文の内容は、ブッダが修行僧に対し「あなた方に縁起(の要点と詳細)を説明しよう。(それを聞いてしっかり)正しく(考えなさい)」などと説く冒頭部分だった。

 調査隊のエドムント・メルツル氏によると、経文は短冊状の樺の樹皮に書かれ、仏舎利(ブッダの遺骨)に見立てたと考えられる泥玉とともに、布に包まれた状態で見つかった。花の模様をあしらった円形の金属板も一緒に見つかったため、筒状の容器に入っていたとみられる。

 直径約一センチの指輪型の土でできた印章も見つかり、蛇と、耳のある鳥のような動物の彫刻が施されていた。特定の集団が使用していた図柄とも推測され、大仏を建立した寄進者を特定する手掛かりとなる可能性もある。

 経文は、東大仏の破壊で崩れ落ちた土砂の回収作業をしていた今年七月に見つかった。地面に積もった大仏の残骸の中に埋もれていたため、調査隊や専門家は大仏立像の内部に納められていたとみている。

 バーミヤン州当局によると、経文は現在、同州にあるアフガン政府の施設に保管されている。