古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

ギリシアのブッダ

現代思想としてのギリシア哲学 (講談社選書メチエ)先日、こちらの本を偶々見かけて購入。早速読んでみました。古東先生のはいろいろ読みましたが、どれも東西の思想に目配りがされていて、しかも読みやすいので、いずれも愛読書となっています。この本は、ちくま学芸文庫版も併せてしばらく品切れになっていましたので、前から読んでみたいと思っていたものでした。古代、東西の思想界が同じような問題圏の中にあったんだなというのがよく分かる1冊です。特に、前半のヘラクレイトスなど、まるで中論の解説を読んでるかのようです。あと、プラトンの箇所も通説とは異なる視点から解説されていて、(門外漢の私には)かなり意外な印象を受けました。古代ギリシアといっても、活躍した人の多くはセム系フェニキア人などオリエンタルな人たち。とりわけ古東先生に「ギリシアのブッダ」と名付けられたストア派なんて、インドとどれくらい関わっていたのか、調べてみたい誘惑に駆られますが、その辺りは資料的に限界があるんでしょうね。


あと、こちらも読んでるのですが、かなり面白いんで、本業の方に集中しないといけないところを脇道にそれてばかりな春先となっております(汗)。

井筒俊彦―叡知の哲学

井筒俊彦―叡知の哲学


コスモスとアンチコスモス―東洋哲学のために井筒先生といえば、先日、たまたま和書・洋書著作がいくつか入荷しましたが、こちらも入っておりました。思わず、読んでしまいましたが…。華厳経プロティノスが、その間にある古代イラン的「光」のメタファーを介してつながる!という面白さ。通常のアジアだけでなく、ギリシアやロシアも含んだ「東洋」の構造化、共時化を目指された井筒先生の著作によって、私自身は仏教の方に導かれていったという背景もあります。いずれにせよ、この辺は今やってることが終わったら、将来勉強してみたいところではあります。しかし、まずは目下の課題を成し遂げなければなりません。どうも、難しい問題に直面すると、本題から「逃げ」てしまうといういつものパターンです…。


そういえば、新プラトン主義の入門書も近くでるんだとか。もう読む時間はありませんが…。

新プラトン主義を学ぶ人のために

新プラトン主義を学ぶ人のために