私が読んでる経典には、サーンキヤ関連の用語というのがポツポツと出てきます。初めはそれほど気にも留めなかったのですが、最近になって何だか気になってきました。今までは仏教内部の影響関係ばかりに目がいってたのですが、もう少し広くインド諸思想に目を向けてみないといけないのでは、と思うようになったわけです。よく考えてみたら、それはある意味当然のところなんだろうと思いますが、恥ずかしながら、その辺の知識がなかったので、まずはこちらを買って一通り勉強しなければと思いました。入門書としては、他に『インド思想史』『インド思想史 (岩波全書 213)』など持っていますが、この本は質、量ともに、私には充分な“概論”だと思いました。
あと、ヨーガ・サーンキヤに関してはこちらも必読か、と思いましたので、購入。仏教と他学派との間に、同じような思想があるというのは結構認められるところだと思います。とりわけ「心」を重視するヨーガ学派は明らかに仏教からの影響を受けているようですが、一方から他方への影響によるものなのか、あるいはお互いの影響関係によるものなのか、その辺はよく分かりません。でも、(私が読んでる)経典作者がヨーガ・サーンキヤを念頭においていたことは確かだと思います。何かと同じような言葉を使っていると思われるところが多く、気になっているところです。同じ言葉でも、仏教と他では意味が微妙に異なってくるところもあります。そう考えると、仏教用語としてだけでなく、違った立場の視点からも読めることにもなり、意味合いがちょっと違ってくるのではないか、と。ヨーガ・スートラの成立は4~5世紀頃といわれますが、考えてみれば、ほぼ同じ時代に仏教では、ヨーガの実践を重んじるヨーガーチャーラが『瑜伽師地論』というヨーガの百科全書をまとめてます。時を同じくして、ヨーガというのが組織立ててまとめられたというのも興味深いところです。ヨーガ・スートラの中に、仏教の唯識派を批判していると取れる部分がありますし、ヨーガ学派と仏教は、相互に何らかの影響を及ぼしていたと見るのが妥当なんじゃないかと思います。
- 作者: 佐保田鶴治
- 出版社/メーカー: 平河出版社
- 発売日: 1983/08
- メディア: 単行本
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こちらも必読品ですね。しかし、『ヨーガ書註解―試訳と研究 (1978年)』は欲しいけど高いですな…。昨年末の市場で買った中に入ってましたが…。
あと、ちょっと前に出たこちらは買いたい。
ヨーガ・スートラ: パタンジャリ哲学の精髄 原典・全訳・注釈付
- 作者: アニルヴィディヤーランカール,Anil Vidyalankar,中島巖
- 出版社/メーカー: 東方出版
- 発売日: 2014/09/20
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最後におまけ。こちらは、先日の洋書会で見つけて、山の中にあったのを個人的に分けてもらいました。