50音図と法華経

前回の話のついでに。50音図はサンスクリットの音声の分析、つまり悉曇学にその起源があるそうです。そして、今日に伝わる50音図の基礎は11世紀天台宗の僧侶・明覚にまで遡ります。その時代も、仏教は梵語を学ばないと本当のところは分からない…というのがあったのでしょうが、明覚を悉曇学研究に向かわせたのは、(話しことばとしての)日本語がそれまでの表記法ではうまく表現できない問題を解消しようという意図もあったのだといわれてます。


それは同時に、日本語による仏教理解にも関わってくることになり、正しくお経を読誦するためにはどう発音し表記すればいいのか?ということにもなってくるようです。「ん」の仮名が表記される現存最古の文典は1058年に書かれた『法華経』だということですが、それはやはり『法華経』がそれだけ読まれていたということでしょうし、読誦するだけでも救われるという経典の性格にも因ると思います。昔、明覚の著書と考えられてきたものに、『法華経秘中略歎抄』というのがあるそうです。『法華経』を正しい発音で読経するための解説書だそうですが、鎌倉中期から室町にかけてそれに類似した書物が多く誕生するそうです。50音図もそうした『法華経』を正しい発音で読誦しようという動きと関係してくるようで!?、日本語の形成に法華経の読誦が関わってくるのだとしたら、その辺はさすがに「諸経の王」と言われる所以ですね…?


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