先日は、東洋大学で比較思想学会がありました。すぐ近くでしたので、行ってみようかと思いましたが、いろいろとやらなきゃいけないことが目白押しだったので、今回は(今回も?)パスしてしまいました。残念。個人的には非常に興味がある学会で、いずれは私もそういう場で発表ができるような研究が出来れば・・・と夢想してますが、まずは目の前のことを片付けてから、ということになってしまいますね。今やってることの先がなかなか見えてこないという状況では、何とも・・・(苦笑)。比較思想学会といえば、偶々こちらの本を持ってます。20年くらい前に出た本で、その時点での欧米、アジアにおける比較思想の三十年の軌跡ということで、結構なボリュームです。比較思想学会の設立の経緯をはじめ様々な裏話も散りばめられてます。比較思想といいますと、東西の哲学、両者に通じる必要があってハードルは高いですし、それぞれの分野の研究者からは敬遠されがちなジャンルではあるのですが、『比較思想論 (岩波全書セレクション[I])』とともにその魅力を伝える1冊ではあると思います。
さて、最近、近代日本哲学関連の入門書をいくつか入手したので、読んでました。
この本は、教科書スタイルですが、明治の揺籃期から、坂部、広松、大森あたりまで網羅されてます。注目は、1970年代に川田熊太郎、
中村元、
井筒俊彦ら比較哲学の潮流が起こってくるのを思想史的に位置づけている部分。簡潔ながらも大まかな見取り図を得たいという向きにはぴったりですが、現在は品切れのようです。
こちらは以前出ていたちくま新書版に「
田辺元」を増補したものなので、新たに購入。科学哲学から
マラルメまでと、かなり幅広い田辺の業績を簡潔にまとめ上げるというのは結構キビシイなというのが率直な感想。そろそろ新しい全集が出てきそうな予感を持ってますが、どうなんでしょう・・・。以前は結構な古書価が付いていた全集の価格が下がってきたのも、そういう感覚があるからなのかもしれません。
こちらは非常に読みやすい
清沢満之入門書。西田の絶対矛盾的自己同一の背景に清沢がいるというのは聞いたことありますが、西田哲学への影響など興味深く読ませていただきました。
あと、こちらは再読。自分が仏教をやってるせいか、やっぱり面白いこの本。再読してもその感は強くなりました。頷きながら、読めてしまう。まさに中村先生がいうところの、東洋と西洋が同じ土俵に立って議論をすればいいじゃないかというような本だと思います。そういう意味で、比較哲学の可能性と示唆に満ちていると思います。
最後に、出たばかりのこちら。買ったばかりでまだ読んでないのですが、書き下ろしの序章と終章にまずは眼を通す。終章の「
日本哲学の多元性へ」で、
網野善彦が示した
逆さ日本図が転載されていたのが印象に残りました。この図から見えてくるのは、日本が孤島というよりも
アリューシャン・千島からフィリピンにかけての環太平洋の連鎖する島であることと、
アジア大陸の突端に位置して大陸から押し寄せてきたた文化の最果ての地だということ。この図は、そうしたハイブリッドな
日本哲学を考えさせるに十分なものに思われました。