博論をふりかえる
博論の内容については後々触れることにして、とりあえずは感想を少し書き留めておこうと思います。
まずは、形になってよかったというのが一番。ただ、書いてるときは、書き終えたと思っては書き直す…というのを延々繰り返し、最後の方は、精神的にも追い込まれ、切羽詰まった感じで落ち着かなかったです。その辺は大変でしたが、論文のことを常に頭の片隅に置きつつ、生活の中で緊張感をもって常に考え続けていたのは、今思うと濃密な時間の中を生きていた感じがして良い経験でした。
あとは、校正や統一感を持たせるというのに苦労しました。校正という点では、博論という特殊性から他人に頼めるわけでもないし、かといって、自分でチェックしきれる量でもないので、結構辛かったです。何度見返しても、誤植があって…。結局、提出したものにも残ってました😅
あとやはり、写本のことですね。『楞伽経』の写本について、その全体像がはっきりしたのが、過去のエントリを見ると去年の3月になります。
これをもっと早く用意しておけばよかったなというのがあります。そこが失敗でした。分量としては(全体からしたら)僅かしか読めてません。そこから分かった点があり、それをもとに学会発表して博論に取り入れられた部分はあったにせよ、もっと読む時間が欲しかったなというのが率直なところです。写本の数が予想以上だったといえばそれまでなんですが、その辺をもっときちんと調べて計画を立てておくべきでした。
あとは、使ってみてすごく便利だったのがこちら。
チベット大蔵経の各種版本の書誌情報を網羅されていて、検索もできますし、各版の異同も調べられます。中華大蔵経もこれがあれば、いらなかったですね。
年限を最大限に使って粘った形になり、最終年に何とかケリをつけた感じになりました。期限があることで何とか提出できましたが、時間はあるようで全然足りなかったです。私の場合、10年以上在籍してましたが、実質真面目に研究してたのは、半分以下だと思いますので、10年くらい費やせば、もっと良くなってたかなとは思います。
今後は研究を続けるのかどうするのかまだ考えてはないですが、ひとまずここで一区切りです。ま、膨大な写本データがあるんで、せっかく自腹を切って複写したわけですから、また気が向いたら、読んでみようかとは思ってます!