古本屋の研究日誌

古本屋として働きながら博士号を取得するまでの軌跡

2010-01-01から1年間の記事一覧

ナイトスタンド・ブディスト

連日猛暑が続いておりますが、今日は久しぶりの雨で幾分凌ぎやすい天気ではありました。 さて、先日こちらの本を書店で見かけました。 アメリカ仏教―仏教も変わる、アメリカも変わる作者: ケネスタナカ,Kenneth Tanaka出版社/メーカー: 武蔵野大学出版会発売…

世親・三性論

世親作といわれている『三性論』ですが、その世親作という伝承を疑う研究者の方は案外多いような気がします。理由はいろいろあるようですが、まずは、当然といえば当然のことながら、チベット訳では龍樹作とされている点です。もちろん龍樹の作ではないんで…

そろそろ買うか…

4月から刊行されてる新アジア仏教史ですが、最新刊は中国・隋唐時代でした。中でも、インド仏教の中国的変容、とりわけ地論宗・摂論宗、大乗起信論から華厳宗の形成と禅宗の形成あたりは、自分の関心とも重なるところで、そろそろ買おうかな…という感じです…

中間発表会

昨日は、京都の本学で仏教学専攻の論文の中間発表会がありましたので、出席してきました。通学課程と合同で、4、50名ほどは出席されていたでしょうか。約10名の発表がありまして、その後、山鉾建てが始まった四条烏丸近くの店で開かれた懇親会に出席。東京行…

電子書籍と仮綴本

先日、知人との話の中で、最近本の「自炊」というのが流行っているという話になりました。自炊とは本を解体、スキャン・PDF化して、自ら電子書籍化するということ。ipadやkindleなどが発売されて以降、電子書籍というのはかなり話題になってますが、自炊すれ…

ダライ・ラマの中論講義

連日、いかんいかんと思いつつも夜中にサッカーを観てしまう日々で、ブログの更新も儘ならず…(苦笑)。そんな中、中間発表の配布資料の作成は何とか終わらせました。あとは時間内に発表をまとめるということへの準備でしょうか…。 さて、ちょっと前に買った…

唯識と止観

ちょっと前に止観、ヴィパッサナー瞑想の流行などについてちょっと触れました。その時のリンク先の記述にもありましたが、仏教では止(サマタ)も観(ヴィパッサナー)も共に行わなければならない、と随所に言われます。唯識文献でもそれは同じことで、止と…

面接指導

週末は修論の面接指導をしていただくために久しぶりに京都の本学へ。去年来た時もそうでしたが、仮校舎が建っている風景に、まだ慣れていない感じです。京都はさすがに暑いなと思いましたが、全国的に暑かったそうですね。 今回は、梵文の和訳を見ていただく…

南インド

まずは久しぶりにカレーの話。先日、日本橋馬喰町のダクシンに行ってきました。南インド料理専門店。ランチタイムだったので、ドーサ・プレートと、南インド・ランチプレートを注文しました。カレーは辛口のチキンカリーを頼んだにもかかかわらずあんまり辛…

敦煌・莫高窟

昨日、仕事の帰りに書店に立ち寄って、偶然見つけました。ナショナル・ジオグラフィック6月号に敦煌の莫高窟が特集されております。内容はこちらです。私もいつか是非行って見たいんですが、今では年間50万人以上の人が訪れるそうです。それだけの人間が訪れ…

坐禅,止観,ヨーガ…

先日発売された本書ですが、早速購入して読んでみました。まず初めに、何のために坐禅をするのか?という前提から書かれてる分かりやすい入門書だと思います。日本の禅宗は中国の南宗禅の系譜ということで、如来蔵、頓悟の流れを汲むものですので、それは迷…

もう5月も終わりです

今月はあんまり勉強が進まなかったような…。『菩薩地』「真実義品」を少し(引用部分が中心ですが)読んだというのが数少ないの収穫の中の一つかも。『般若経』では、「清く輝く心」という積極的な表現で最高の真実を語ってるところがありますが、勝義的存在…

死者の書(岩波文庫)

今日書店にて見つけました。安藤礼二氏による注解を伴った『死者の書』が続編と「口ぶえ」を伴って文庫化される。何といっても、昭和18年刊の初版と同じこの表紙のデザインがいいですね。この「オシリスの霊魂」は、大正9年に英語からの重訳で出版された世界…

台湾版

5月に入ってからブログの更新頻度も落ち気味でした。ちょっと忙しかったというのもあるんですが、頭の中は修論のことでいっぱいだったというのもあり、ネタに乏しかったんですね…(笑)。その進捗状況ですが、ボチボチといったところです。とりあえず、今ま…

仏教の身体感覚

本日、書店で見かけて購入。修論執筆の息抜きに、通勤電車内読書といきますか。仏教の身体感覚 (ちくま新書)作者: 久保田展弘出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/05/08メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (3件) を見る 仏教は、呪術性…

GWの真っ只中にぼやく…

連休に入りましたが、入る前から我が家は全員風邪で体調不良です。子供が4月15日より保育園に通い始めたのですが、いきなり風邪をもらってきて、熱が5日ほど続いておりました。そのため、先週は妻が仕事を休んだり、病児保育に預けたりしたのですが、噂には…

49,736

その数字は、現在インドでサンスクリットを話す人の数のようです。こちらを参照しますと、そのように書いてあります。インドの古典語ということで、よく現在ではほとんど使われてないみたいにいわれますが、一応現在にも生きている言語のようです。11億を突…

勉強時間

時間がないと嘆く前に時間をどう捻出するのか?色々試行錯誤は続けております。 私の場合、過去に試みてボツになったものは色々あります(^^;。まずは、俗に言う短眠法。ネットを見ると結構そういう本が出回っていて、一般的に関心が高いことが分かりますが…

新アジア仏教史

昭和40年代後半から50年代初にかけて刊行された佼成出版社『アジア仏教史』の新版が今月から刊行されております(参照)。今月は第1巻「インド1 仏教出現の背景」と、第9巻「チベット須弥山の仏教世界」の2冊みたいです。来月から毎月刊行されるようです。旧…

珍しい!

先日、全古書連大市という一大イベントがあったんですが、そこで入手したものの中に、シルヴァン・レヴィの『梵文唯識二十論・三十頌』が入っておりました。元版は1925年にパリで出たものですが、今回のは1940年に上海でリプリントされたというもの。いわゆ…

知のコンシェルジュ?

昨日は、古書シンポジウム「滅亡か、復権か−大規模デジタル化時代と本の可能性」というのに出席させてもらいました。前半は、国立国会図書館館長、大日本印刷(株)取締役常務、国立情報学研究所・高野先生による講演。その中では、近代デジタルライブラリー…

仏典入門講座 & 古書シンポジウム

以前ここに書きました通り、今月から文京区春日へ移転した国際仏教学大学院大学ですが、仏典入門講座をはじめ、各種公開講座が開講されるようです。仏典入門講座は、「般若経典を読む」だそうで(参照)、『八千頌般若経』や『般若心経』等から重要箇所を選…

一週間ぶり

時間があいてしまいましたが、その間、我が家はウィルス性胃腸炎に罹り、一家全滅(笑)の事態に陥っておりました。。最初に子供が発症し、次に母親へ、そして最後に私に…。私は3日前に発症してから、39℃の発熱とお腹をやられ、ここ2日間ろくに食事もできず……

牛歩のごとく

先日来『楞伽経』に取り掛かっているんですが、なかなか進まず、一抹の焦りも感じてる状況です(苦笑)。進まない理由はやはりサンスクリット。単に私自身の能力の低さが原因なんですが、精密な文法的な理解を適用しようと試みれば試みるほど、牛歩のごとく…

いよいよ

『広説 佛教語大辞典』の縮刷版が今年の6月に刊行されるそうです(参照)。 となると、今まで入荷するとすぐに売れてしまってた全4冊本の古書価も下がっていくのでしょうか。定価7万円超で、且つ、すぐに売れるという、仏教書においては、ある意味ドル箱的存…

註がない…

今週から『楞伽経』の散文部分(とりあえず「無常品」)を読んでいってます。といっても、まだ始めたばかりなんですが、いきなり躓いております…(笑)。同経は、邦訳が二つ刊行されているのですが、その二つともに、訳文に註記が全く付されておらず、訳の根…

新刊

先日知ったのですが、こちらの新刊が出た模様。 タイトル:初期唯識思想の研究 唯識無境と三性説 著者:兵藤一夫 発行所:文栄堂 定価:9,975円 判型・頁数:A5判 ハードカバー・函 492ページ ISBN:9784892431111 すでに「三性説における唯識無境の意義」(1)(2)…

現代霊性論

ちょっと息抜きにこちらの本を買ってみました。とりあえず、「スピリチュアルブームの正体」「日本の宗教性はメタ宗教にあり」などの部分を読んでみましたが、『不干斎ハビアン―神も仏も棄てた宗教者 (新潮選書)』と重なる部分があるな、という印象でした。…

批判的精神

ちょっと間が空いてしまいました。別に、真面目に勉強しててブログどころではなかった、というわけではありません(笑)。 まず、仕事の方の話ですと、すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、2ヶ月くらい前から、寺院・ご住職さん向けの某雑誌に…

空の思想史

前回、三性説を持ち出したついでにこちらの本を何となく手にとる。「空」という概念も時代と場所によって色々な意味を持ち、それを視点にして仏教史を捉えてみると面白いよというのが本書です。もともとインド人の考え方として、基体(ダルミン)と属性(ダ…